日時:2月19日(火)
場所:お茶の水女子大学
登壇者:最上もが、 MC東小雪
映画『サタデーナイト・チャーチ -夢を歌う場所-』のお茶の水女子大学学生主催の課外セッションを開催。タレントの最上もがをゲストに迎え、LGBTアクティビストの東小雪とともに登壇した。
本作は、LGBTの人々が直面する厳しい現実や社会問題に焦点をあて、ニューヨークで実在するLGBTの人々のための支援プログラム“サタデー・チャーチ(土曜の教会)”を舞台に、性に悩む若者たちの経験談が物語を紡いでいく感動作。初監督・初脚本となるデイモン・カーダシスが、ボランティアを務めていた教会での実体験と綿密なリサーチを行い、主人公が経験するエピソードは全部事実に基づいて制作された。
また、お茶の水女子大学は、昨年の7月10日に、「多様性を包摂する」として2020年度の学部・大学院の入学者から「トランスジェンダー」の学生を受け入れることを発表し、大きな話題を呼んだ。今回の課外セッションは、大学側が作った制度を単に受け入れるのではなく、学生ひとりひとりが自ら考え、自己の意識を変化させていく事が大切だと考えた学生らが、本作の内容に共感し、企画された。
まずは、最上が本作の感想を語った。「希望がある映画だなと思いました。10代は自分のセクシュアリティが一番分からなくなってしまって、孤立しちゃう子が多いと思うんです。この映画は(主人公が自分の)居場所を見つけられて、前向きな結末を迎えて、ほっこりした気持ちになれて良かったなと思いました!」
元タカラジェンヌで、東京ディズニーシーで初の同性結婚式を挙げ、日本初の同性パートナーシップ証明書を取得した経歴を持つ東が、「10代の頃にセクシュアリティに悩んだことは?(バイセクシュアルは)悪いことなんじゃないかっていう葛藤は無かった?」と尋ねると、「全然悩んでなかったですね(笑)綺麗なお姉さんっていいなっていう気持ちがずっとあって。自分の中では自然なことでした。人を愛するって性別は全く関係無いって思ってます!」と笑顔で答えた。
さらに自身の人生を振り返り、「高校2年生の時に、クラスの中で凄いかわいい女の子がいて、写真を待ち受けにしていたら、女友達に『レズなの?』と言われて。でもそれは差別とか偏見じゃなく『だと思ってた。女の子好きだよね』と言われて。周りにも女子同士のカップルが普通にいたので、“ボク”にとっては自然なことだった」と告白。
また、登壇したバイセクシュアルである学生からは、テレビなどのメディアでのLGBTの扱いが、悲劇性だけを強調したり、デフォルメしたコメディに描いたり、二極化していることについて聞かれると、東は「10年くらい前は、カミングアウトの大変さや苦しみが取り上げられてきて、分かりやすくマイノリティを強調することがあったが、かなり社会も変わってきていますね」とコメント。
別の学生からは、「2020年度から、いざ男性の格好をしたトランスジェンダーの学生が入学してきたら、差別はしたくないし、友達として付き合いたいけれども、自分の中に引っかかるものがあって戸惑うかもしれない」との相談。その学生に対しても、東は「私はレズビアンなんですが、バイセクシュアルの人の傷みが分かるかとか、トランスジェンダーの人の気持ちが全部分かるかといったら、そんなことは絶対に無いし、相手の気持ちが分かると決めつけてしまうことこそが危険。決めつけは、以前問題になった議員のように、セクシュアル・マイノリティ全体を切り捨てるような発言につながる。大切なのは、ひとりひとり考え方が違うという事を理解すること。どう接したらいいのだろう、と気を遣いながらモヤモヤと向き合うにはもの凄くエネルギーが要るけれど、様々な生き方の人達と向き合い続けるエネルギーこそが“教育”なのでは」と、その迷いを一掃する回答を提供した。