この度劇中の新場面写真と共に、出来上がった『寝ても覚めても』を観た後の各キャストのコメントが到着。
現場での思いや出来上がった作品を観てどんな気持ちになったか、東出、唐田はじめ各キャストそれぞれの生の声を劇中の登場人物の紹介と共にお届け!映画、テレビ、舞台と活躍し、その演技力に定評がある俳優達。様々な役を演じる、演技経験を積んだ彼らの言葉は、まさに本作の核心に触れるもの。映画の公開が楽しみになること間違いなし!
東出昌大 (一人二役)
■ 丸子亮平:日本酒メーカー〈紅錦(べにきん)〉に勤務する実直なサラリーマン。大阪から東京に転勤直後、朝子に出会い惹かれる。
■ 鳥居麦(ばく):どことなく秘密めいた雰囲気を醸し出す自由人。大阪で朝子と出会う。
観た後に、胸に残るこの「疼き」は何なのか、未だに分かりません。オファーを頂いた時は一人二役と聞き、キャラクターの差異をどのようにつけようかなどと夢想していましたが、監督のメソッドに真剣に取り組むうちに、浅はかな演じ分けなど必要ないと痛感しました。クランクイン前のワークショップが多く、初めて耳にする演技法に則って現場に臨む日々でしたが、思い返してみると変わった事をやっていたのではなく、人ならば誰しも奥底に持っている真心を撮る為に、熱狂しながら撮影の日々を過ごしていたんだと思います。
唐田えりか
■ 泉谷朝子:東京の喫茶店で働く。コーヒーを届けにいった先で亮平に出会う。おっとりしてみえるが、思い込んだら一直線なところがある。
初のヒロイン、本格演技デビュー作ということもあり、初めは不安もあったのですが、東出さんがご飯に連れて行ってくださったり、敬語はやめようと言って頂いたお陰で、撮影前に関係性が作れたので、不安は無く、撮影に入るのが楽しみで仕方なかったです。なので、私は現場で無の状態で居られて、そのとき感じたものに嘘なく反応できました。後悔はないです。濱口監督は、お芝居に対して前向きになれなかった私を、前向きにさせてくれました。そして、お芝居の基盤を教わりました。完成した作品を見て、知らない自分だらけで、嬉しくも怖くもなりましたが、この作品は目を逸らさずに全部優しく抱き締めてくれているようなそんな気がしました。朝子のことをみんなに理解してもらえなくてもいい。でも一人一人に、何かが、届いてほしいです。「寝ても覚めても」、皆さんに出会えたことが私の財産です。10 代最後の夏、大恋愛しました!!!》
瀬戸康史
■ 串橋耕介:亮平の同僚。何事においても要領よく、亮平曰く「能ある鷹は爪を隠す」タイプ。
この作品は見てくださった方のその時の心境や、これまでの経験で受け止め方が大きく違ってくると思います。監督の演出も余計なものは削っていく方法ではじめての経験でした。主人公2 人が行動していく様は本能的で、その純粋さが怖かった。人種や性別などは違っても僕らは“寝ても覚めても人間”なのだと感じました。
山下リオ
■ 鈴木マヤ:女優。東京に住む朝子のルームメイト。曲がったことが好きではない。
恋をすると、心が締め付けられ苦しくなる。それと同時に些細な事で幸せを感じ、なんとも言えない幸福の浮遊感を味わう。作品を見終わった後、そんな両極の感情がブワッと心に入ってきて、足枷はあるけど地上から浮いてるような不思議な感覚に包まれました。そして、たしかに私たちはあの時間を、作品の中で生きていた、と実感しました。そんな事を心から思えるのは、濱口監督、全てのスタッフ・キャストの皆さんのおかげです。是非、たくさんの方に観て頂きたいです。
伊藤沙莉
■ 島春代:大阪時代の朝子の親友。しっかり者。朝子のことをいつも心配している。
人が理性を失って、衝動的に行動を起こすのをハラハラしてみているつもりがワクワクして見守っていました。自分の中に否定的な何かよりむしろ説明のつかない高揚感が生まれているのに気付いてなんともいえない不思議な感覚に陥りました。それは初めて濱口監督の演出を受けた時の感覚と、とてもよく似ていました。そういう感覚とか、また違う感覚とか、しっかりスクリーンで感じていただきたいです。
渡辺大知(黒猫チェルシー)
■ 岡崎伸行:大阪時代の朝子の友達。麦は遠い親戚で母栄子と住む家に麦は居候している。お調子者。
濱口さんの現場は毎日が新鮮でした。ただ、なにか特異なことをしている訳でもなく、難しい課題があったわけでもないのですが、当たり前のことがとても新鮮に感じられました。『寝ても覚めても』は恋愛についての映画ではありますが、ひととひととの繋がりを描いた作品でもあります。ぼくもこの映画に出てくる素敵な登場人物たちとの大切な出会いの一片になれればと思ってやりました。素晴らしいスタッフ、キャストの方々と一緒にこの映画に参加できたことを光栄に思います。ぜひ楽しんでください!