日時:5月25日(金)
場所:熱田神宮会館・北館宴会場の春敲
登壇者:日比遊一監督、山口寛(エグゼクティブプロデューサー)、田頭泰樹(名古屋市観光文化交流局ナゴヤ魅力向上室長)
名古屋市熱田区大瀬子出身の写真家・映画監督である日比遊一(『健さん』『ブルーバタフライ』)が、自身の家族にまつわる実話をベースにした長編映画『名も無い日』を、5月29日から6月下旬にかけて約1ヶ月もの間、熱田区を中心とした名古屋市内で撮影されることが明らかになった。撮入に伴い、5月25日(金)に熱田神宮内にて成功祈願祭を執り行い、その後に熱田神宮会館内の春敲の間にて製作発表を行った。日比監督の熱い想いが詰まった映画を故郷の熱田区で制作するにあたり、地元の皆様により本作のことを知って頂きたいという想いから、近日に控えているクランクイン前に本作の撮影に至った経緯や、どのように地域の方々の連携やご協力を仰ぎながら取り組んでいるかを発表した。
MC:まずは一言ずつご挨拶をお願いします。
日比遊一監督:今日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。映画監督を務めさせていただきます日々遊一と申します。数ある映画の中で名古屋を舞台にした映画というのはそんなになくて、昔からいつか名古屋を舞台に映画を撮りたいと思っていました。今回このような形が実りまして胸がいっぱいです。皆さんに観ていただけるような素晴らしい作品にしたいと思っております。よろしくお願いします。
山口宏:日々監督と2年前に名古屋で出会いまして、私や中小企業の経営者が(監督から)地元熱田を舞台にした映画を作りたいという話を聞いて(プロジェクトを)立ち上げた数名の1人です。1年以上こういう話をしてきまして、いよいよ制作に入るということで感無量です。いい映画にできることをとても楽しみにしております。
田頭泰樹:2年前に名古屋市の中にできた新しいセクションで名古屋市観光文化交流局というのですが、これまでの観光政策に加えてシティプロモーションをやっていこうということで、私はシティプロモーションの担当室長です。今回はほとんどが名古屋ロケということで映画を通して名古屋の魅力が日本中に世界に広がって、名古屋にお越しいただきたいと思っています。名古屋の街で映画を作ったらこんなに素敵に見えるんだということを名古屋市民の誇りにつながっていくのではないかと思って期待しています。名古屋市民にたくさん観てもらって名古屋市の魅力に気づいてもらって、名古屋いいよねというきっかけになればいいかなと思っています。
Q:名古屋・熱田で映画を撮りたいと思ったきっかけはなんですか?
日比遊一監督:ニューヨーク、アメリカに31年住んでいまして、一昨年、高倉健さんのドキュメンタリー「健さん」を撮らせていただきました。久しぶりに日本に帰ってきたときに、日本の良さを改めて感じて地元愛が芽生えました。僕の地元の仲間たちから次の作品はどんなものが撮りたいのかと話を聞かれたときに、僕の私小説のようなもの名古屋の熱田を舞台に撮りたいと思っている映画があると話したところみんなで(プロジェクトを)立ち上げないかという話になりました。
Q:自身の家族に纏わる物語というのは随分前から考えていたのですか?
日比遊一監督:ストーリーにも重なるのですが私自身に不幸がありまして、海外に住んでいる主人公の弟が亡くなる悲報を聞き、軸になるのは亡くなった弟なのですが、親族や残された家族と会話をしていく中で何かできたことがないのかと自分の残された使命を個々が背負って、生きて考えさせてくれる普遍的なストーリーです。日本人でなければ名古屋人でなければわからないという作品ではなく、どの国の人であって共通項のある話しだと思います。
Q:熱田や地域の皆さんはどのような形でこの映画づくりに参加していくのでしょうか?
山口宏:これまでは私たちの直接知っている方にいろいろ発信をしていただきました。ロケハンのスタッフが入ってからは撮影の協力のお願いに行きまして、ロケ地のご提供や機材、車両、いろいろな形で協力してくださっている方がたくさんいます。食事、特に名古屋メシを提供してくださる地域の方がいらっしゃいます。これまでは個人的に知っているツテを頼って交渉してきました。今日をきっかけに名古屋の方に映画を撮るということを知っていただいて、様々な形で協力をいただけたらと思っています、一緒に映画作りにしていただけたらと思います。
Q:この映画をきっかけに名古屋のどんな魅力が伝わって欲しいと思っていますか
田頭泰樹:2年前のアンケートで名古屋は魅力のない街・行きたくない街で1番になってしまったのですが、理由を調べてみたところ名古屋市民が名古屋の魅力についてよく知らないということがわかりました。それを打ち破るためには名古屋市民にこそ名古屋の魅力を知って欲しいと思います。熱田界隈の熱田神宮にもお正月など(参拝するだけで)帰ってしまっている。日常の(風景)だけれど、こんなにいいんだなということ知るきっかけとして映画には力があると思います。
Q:3兄弟のキャスティングの理由を教えてください!
日比遊一監督:海外生活が長いので日本の俳優はあまり知らないのですが、ニューヨークやカンヌやベネチアなど映画祭に出品されている作品を見て日本の俳優を知り、かなりレベルの高い俳優陣を選ばせていただきました。
Q:日本や地元の良さってどんなところだと思いますか?
日比遊一監督:私は熱田の白鳥小学校、宮中学校出身なのですが、熱田神宮に参拝に来ている大人たちを見てこの街から出たいと思っていました。ああいう大人にはなりたくないと単純に思ったんです。それで東京に出ました。東京でも物足りませんでした。海外に行くことがチャレンジと言う世代でした。高倉健さんは日本の旗だと思います。海外が長いと日本にいる日本人よりも日本人であるという気持ちが芽生えてきました。500円位のものを買ってもきちんと包んでくれたり、ゴミ捨てのルールがしっかりと守られているところ、礼儀正しいところ、子供を叱れる大人がいなくなったことなど、年を重ねるごとになくしてはいけない礼節なのではないかと感じています。映画の中にももちろん反映されています。日本人が忘れてしまっているような部分もたくさん入っています。僕が切り取った名古屋だし僕が切り取った日本人の姿がかなりあります。
Q:キャスティング俳優陣の名前はいつ発表されるのですか?撮影の日程を教えてください。
山口宏:キャスティングについては後日の発表となります。情報解禁日を設けています。来週から約1ヶ月間の撮影で、地域の方に盛り上げてもらいたいと思っています。スタッフ、キャストも60名くらいが東京から熱田にやってくるので、名古屋よかったなと思ってもらえるように地域の方にサポートしてもらえたらと思っています。撮影に支障がない範囲で、できる限り情報を出していければと思います。
Q:成功祈願でどんなことをお願いしたのですか?
日比遊一監督:良い作品になりますように、より多くの方に観てもらえますようにということです。
Q:熱田神宮での思い出は?
日比遊一監督:熱田神宮から歩いて5分ぐらいのところに住んでいたので、周りを走ったり、小さい頃はいろいろなところに入ったり、小さい頃の遊び場といいますか私の全てです。
Q:熱田神宮で撮影するシーンについて、どんなシーンを撮るのか教えてください!
日比遊一監督:口頭や文章で説明してもわからないと思います。実際の映画を観て、熱田神宮ってこんなところなんだと言うようなこんな見方もあるんだと言うような画にはなると思います。そういう映画にしたいです。
Q:日比監督は写真家なので映像へのこだわりがあると思います。今回の作品ではどういったスタイルの映像で撮るのですか?
日比遊一監督:映画というのは絵や写真から影響されたフォームなんですね。こういう四角い枠の中に入れるということは、普段皆さんが見ているんだけれど、こういう枠の中で生きているんだということがわかる、普段歩いている場所でもドラマが生まれるんだということを感じてもらえる映画になるのではないかと思います。
Q:このタイトルをつけた理由は?
日比遊一監督:映画の中のヒントになると思うのですが、現在の社会問題、いわゆる命日がない、孤独死をされていく人がいっぱいいらっしゃいますよね。そういう意味あいです。その人にとってどういう意味があるのか、いろいろな意味が隠されているのですが、映画を観て個々が感じていただければと思います。
Q:ご自身の私小説を映画にすることで並々ならぬ思い入れや決意があるのでしょうか?
日比遊一監督:あまりにも自分に近い作品なので、自己満足で終わらないようにするにはどうしたら良いかを考えました。映画はいろいろな人が関わりますし、ちゃんと伝えるべき立場にいるのが監督ですから。俳優さんにも撮影監督、照明の方にもきちんと説明できるように、そういう消化の仕方をするにはどういうプロセスをとったらいいのかなと言う事は考えました。
Q:田頭さんに名古屋魅力向上室が立ち上がってから映画をシティプロモーションに活用してきたことはありますか?
田頭泰樹:普段は名古屋コンベンションビューローのフィルムコミッションで名古屋市内での撮影の許可申請などの対応をしています。市役所内での撮影協力などもしてきました。今回はほとんどが名古屋ロケということで、通常よりも許諾事項が多くて、できるだけ監督の希望に添えるようバックアップしようと、いつも以上の協力度合いとなっています。