日本のヌーベルヴァーグ!新たな才能!東出昌大「真心を大事にした映画」カンヌ記者会見『寝ても覚めても』

日本のヌーベルヴァーグ!新たな才能!東出昌大「真心を大事にした映画」カンヌ記者会見『寝ても覚めても』
提供:シネマクエスト

東出昌大を主演に迎え、俊英 濱口竜介監督が、芥川賞作家・柴崎友香による同名恋愛小説を映画化した『寝ても覚めても』(9 月 1 日全国公開/英語タイトル「ASAKOI&II」)。本作は 5 月 8 日から開催中の第 71 回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品されている。
フランス現地時間5月15日(火)12:00(日本時間同日19:00)、フォトコールに主演東出昌大、ヒロイン唐田えりか、濱口竜介監督が登場。12:30(日本時間19:30)から記者会見が行われた。

タキシードだった昨日のレッドカーペットから、東出はマルタン・マルジェラのブラックスーツに身を包み、高身長がさらに際立つ美しい立ち姿に。
また、唐田もセクシーだった昨日とは打って変わり日本からパリへ進出したブランドsacaiのキュートなチェックのドレスで登場、日本からフランスへの羽ばたきを衣装でも表現した。日本人らしからぬスタイルの良さを見せる東出の登場に、海外セレブ達を撮影してきたカメラマンからもため息が。そして、ふわふわとしたドレスをまとう唐田がくるっと回る度に歓声があがる。ラフな姿の監督を中心に息のあったチームワークを見せる『寝ても覚めても』チームは海外メディアをも虜にした。

記者会見内容

――素晴らしい作品をありがとうございました。日本のヌーベルヴァーグ、新しい才能が現れたと思いました。とても繊細な映画です。どのようにその目に見えないような軽さ、繊細さを描写できたのでしょうか。

■濱口監督
震災が起こった後、被災地でドキュメンタリーを撮るようになったのですが、その土地で、カメラに対して、自分自身を差し出してくれる人たちが映画にいかに力を与えるかを痛感しました。『ハッピーアワー』では、本人でない人物を演じながら、本人を出すにはどうしたら良いのか、を試行錯誤し、最終的に、脚本を信用する、テキストを洗練させていくことになりました。何度も何度も感情を排した本読みをすることでテキストを体に入れ込んでいき、その言葉を発するとき、その人ならどういう風に言うのかをこのような反応を引き出せるもということを知りました。
今回、ふたりを知る時間はあまりなかったのですが、直感的に好きだと思える人をキャスティングできました。その人たちに磨き上げたテキストをしみ仕込みませました。それでその人たちの演技が自然だとおっしゃるならば、非常に嬉しいことです。

■唐田えりか
まっすぐな感想をいただけて光栄です。私は演技経験があまりありません。でも、濱口さん、東出さんはじめ、みんなのことが好きで信頼して現場に挑みました。現場では皆さんに甘えて、頼りにさせてもらおうと思い、皆さんの演技を聞いて感じたことを出した結果、嘘でない演技ができたと思います。みなさんのおかげで演じることができました。

■東出昌大
日本の映画界は大体1ヶ月から2ヶ月、もしくは1週間で撮ることもあります。しかし、クランクイン前にみんなで会えるかと言うとやれないことも多い。初めて会う人と20年来の友人役を演じることもあります。そういった場合、プロの役者は自分の用意したもので戦うしかないし、それができるからプロなんだと思います。でも己で用意したものは芝居臭くなる。
だから、おっしゃった軽さはその対局にあるものだと思います。今回はクランクイン前に監督に会って、ワークショップもやり、俳優同士も繋がってから撮影に入りました。濱口メソッドではやったことのないことをたくさんやりました。でも、用意したことをやるのではなく、そこにいること、感情を大事にすること、真心のようなものを大事にして、みんなで挑んだような気がします。

――「繊細でナチュラルな演技の方向性が大事」だと言っていましたが二役は難しい。繊細でナチュラルな二役をどのように構築して演じたのでしょうか?

■東出昌大
麦と亮平は標準語と関西弁との違いがあります。外国の方にはわからないと思うけれども、ふたりは違う地域の言葉を話します。
特に柴崎さんからのリクエストで関西弁には注意をして話しました。用意しないことが大事、と言いましたがクランクイン前は演じわけが大事だと思って、少ない引き出しを開けて、表面的に演じ分けようと思っていました。
目線だったり、仕草だったり、生き方によって、声色や喋り方は変わると思っていたので、声も変えようと思っていました。でも、監督に声は変えないでいいと言われた。東出という楽器から出てくる麦という音と、亮平という音を聞かせてくれ、と。実際、監督がおっしゃる通り、読むセリフが違うので、別の人物になりました。小手先で変えるのではなく、気持ちの部分だと言うところに立ち返りました。

――朝子を正面から捉えているショットの意図は? そのシーンをどう演じているのでしょうか。

■濱口監督
朝子の顔を正面から取ることはやりたくてやったものです。ぼくは増村保造監督が好きなのですが、増村監督がよくやる俳優の配置で90度に人物を置いて、男性は女性を見ている、女性は横顔で目を合わさない、というものがあります。
それを正面から撮るとどうなるか、に興味がありました。これは彼女にとっては難しいことだったと思います。彼女は正面にカメラがある、でも彼女の人生や魂を差し出して欲しいと思っていたので、暴力的かもしれませんがカメラを置かせてもらいました。

■唐田えりか
カメラが目の前にあっても、カメラマンの佐々木さんを信頼していたし、防潮堤のシーンも、カメラがあるのにカメラから透けて海が見えていたような気がします。不思議なんですが。カメラが邪魔だと思ったことはありませんでした。

授賞式はフランス現地時間5月19日(土)19:15(日本時間5月20日午前1:15)から行われる。

写真 (C)Kazuko WAKAYAMA

最終更新日
2018-05-16 12:10:47
提供
シネマクエスト(引用元

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