日時:2月19日(月)
場所:新宿バルト9 スクリーン8
登壇者:音尾琢真(TEAM NACS)、白石和彌監督
現役国民的アイドル・北原里英をピエール瀧とリリー・フランキーの“凶悪”コンビが拉致・監禁することから始まる予測不能のジェットコースタームービー『サニー/32』。この日、行われた公開後のトークイベントに演劇ユニットTEAM NACSのメンバーであり、今では白石組常連俳優としても知られる音尾琢真と本作でメガホンを取った白石和彌監督が登壇し、本作における音尾の出演経緯などが語られ、会場に訪れた観客を大いに沸かせた。
『日本で一番悪い奴ら』(16)で主人公・綾野剛演じる悪徳刑事と相対する刑事役として出演以降、日活ロマンポルノ・リブート・プロジェクト作品『牝猫たち』(17)ではヒロイン3人が勤めるデリヘルの店長役を演じ、本作ではヤンキーの春樹先輩役を演じた音尾。上映後の舞台挨拶に白石監督とともに割れんばかりの拍手で迎えられると、笑顔で「北原里英です」と茶目っ気たっぷりに挨拶。のっけからお客さんを沸かせる舞台役者ぶりに白石監督も笑顔に。実は地元、北海道旭川西高等学校の1学年先輩(白石)と後輩(音尾)の間柄である二人だが、意外にも出会いは最近。白石和彌の名を世に知らしめた『凶悪』を鑑賞した音尾が感銘を受け、白石監督が高校の先輩だったことを知り、共通の知人を介し初めて話をしたそう。それがキッカケとなり、『日本で一番悪い奴ら』の出演を皮切りに以後、白石作品にはなくてはならない俳優となったことが語られた。以後、白石作品の製作が耳に入るや否や、すぐに「先輩の映画に出してください!」と連絡が来るようになったことに加え、毎年、音尾からお歳暮が届くようになったエピソードが白石監督から暴露されると会場からは笑いが。さらに被せるように音尾からは「袖の下が効いている。」としてやったりの顔で再び場内を笑わせた。
この日、観客とともに本作を鑑賞した事と語った音尾は興奮した様子で「最高に素晴らしい!」と手をたたいて絶賛。「台本からは荒唐無稽さを感じこの作品はどうなるんだ?!と思っていたが、白石監督は作品の中で人間を演出をして、人間を撮っている。映画として完成した時にここまで素晴らしいものになるのか」と終始、称えつつ、「てか、春樹先輩22歳ってなんすか、あれ?」と自身が演じた役にも言及。そんな後輩に対して、「音尾君は本当にありがたいけど、たまにめんどくさい(笑)」と先輩のジャブに会場からは再び笑いが。「通行人でもいいから先輩の作品に出してほしい」と言ってくれる音尾に対して、本作で様々な役を打診したそう。しかし、スケジュールの都合でなかなか合わずようやく決まったのが、ヤンキーの春樹先輩だったという。音尾は日本海に面した新潟・長岡での過酷ロケについて「北海道より寒くて相当キツイ現場だった。北原さんや他のキャストの方々が本当に大変。」と振り返りつつ、今回が3度目となる白石組について「現場での白石監督の演出の指示の出し方が本当におもしろい!」とその魅力を語り、自身の主演作についても言及。すると毎回大事なポイントで出演する音尾に対して、白石監督から『小魚たち』と、過去作『牝猫たち』をもじった作品構想が発表されると場内はこの日一番の笑いが起こり、二人も笑顔で笑い合っていた。
イベントの最後に「現在の日本の様々な問題を入れ込んだ僕にとっても大切な作品」と言えば、音尾も「現在(の日本)を映し出している作品。素晴らしい作品ですし、これからも白石監督にずっとついていきます!」との締めの言葉に場内からは割れんばかりの拍手がおこりイベントは大盛り上がりの末、幕を閉じた。