世界の映画人たちに最も尊敬され、アカデミー賞にも輝いた巨匠マーティン・スコセッシ監督が、戦後日本文学の金字塔と称される遠藤周作の「沈黙」を映画化した『沈黙-サイレンス-』が、全国で絶賛上映中だ。映画化によって重版を重ねた「沈黙」(新潮文庫)は200万部を突破、その普遍的なメッセージが今も読み継がれている。スコセッシ監督が原作と出会ってから28年、読んだ瞬間に映画化を希望した「夢の企画」である本作は、第89回アカデミー賞で撮影賞(ロドリゴ・プリエト)にノミネートされ、先に発表された第14回シネフィル協会賞では堂々8部門の最多ノミネートを果たすなど、全世界で高い評価を獲得している。
遠藤周作からマーティン・スコセッシへ。スコセッシから日本と世界の精鋭キャストたちへ。人間の強さ、弱さとは? 信じることとは? そして、生きることの意味とは?「人間にとって本当に大切なことは何か?」を問いかける本作のメッセージが、時を越えて全世界に発信されている。
『沈黙-サイレンス-』日本公開から約20日、観客動員は間もなく50万人、興収も6億円を突破する大ヒット上映中です。本作をご覧になった著名人から、その深いメッセージに共鳴したコメントが到着した。
ゲーム・クリエイターとして世界的に活躍する小島秀夫氏は、「スコセッシは、“信仰”と“迫害”を、“人間”と“時代”を、“神(キリスト)の沈黙”を、静かに静かに描きながらも、誰にも聴こえなかった“沈黙(サイレンス)”を大胆に破ってくれる。」と、静謐な描写の中に浮かびあがる監督の表現力を絶賛。遠藤周作門下生である作家の加藤宗哉氏は、「スコセッシ監督と遠藤周作、二人の魂が通じ合うのを見た。」と見事に映画へと昇華された「沈黙」への賛辞を送る。
ラッパー・ラジオパーソナリティとして活躍するライムスター宇多丸氏は、TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」1月28日放送分で「日本人俳優が本当に軒並み素晴らしい仕事をしている。(中略)特に重要なのはキチジローというキャラクターの描かれ方。窪塚くんが本当に素晴らしい。」と日本人キャストの奮闘を讃える。
その他、映画評論家の芝山幹郎氏、町山智浩氏、森直人氏、松崎健夫氏、映画監督の松江哲明氏からのコメントも。そして遠藤周作の長男である遠藤龍之介氏は、「父はよく言っていました。 「世の中に絶対的な悪や絶対的な善はほとんどない。悪の中にも善はあるし、善き事の中にも悪しき事がたくさんある」と。」と、本作の根底にある深いメッセージを父の言葉を引用して語っている。
著名人コメント全文(敬称略/順不同)
父はよく言っていました。 「世の中に絶対的な悪や絶対的な善はほとんどない。 悪の中にも善はあるし、善き事の中にも悪しき事がたくさんある」と。
遠藤龍之介/遠藤周作長男
スコセッシ監督と遠藤周作、二人の魂が通じ合うのを見た。
『沈黙』をめぐるすべての文芸批評を超えた作品。映画の力を思い知った。
加藤宗哉/作家・遠藤周作門下
スコセッシは、“信仰”と“迫害”を、“人間”と“時代”を、“神(キリスト)の沈黙”を、静かに静かに描きながらも、誰にも聴こえなかった“沈黙(サイレンス)”を大胆に破ってくれる。
小島秀夫/ゲームクリエイター
苦痛や苦悩の奥にある「苦しみ」が物質のように立ち上がるのは、スコセッシならでは。情感に流されない凝視に感嘆した。
芝山幹郎/評論家
弱い人、負けてしまった人、裏切ってしまった人、そんな僕らの肩を抱いて、一緒に泣いてくれる映画です。
町山智浩/映画評論家
壮絶なまでのハイボルテージ。知性と情念の沸騰。『沈黙』がいかに多様な読みを呼び起こす現代的なテキストか、この映画は我々に教えてくれた!
森 直人/映画評論家
沈黙するのは、神か、隣人か、それとも己なのか。現代だからこそ悟らされる、信念を捨てないことの意味と意義。
松崎健夫/映画評論家
映画という信仰が生み出した、恐るべき作品。
こんなにも思考が揺さぶられる上映時間は、そう、ない。
松江 哲明/ドキュメンタリー監督
日本人俳優が本当に軒並み素晴らしい仕事をしている。
どのキャラクターも決して単純化できない、非常に多面的、多層的な描き方、表情の見せ方をしていて、特に重要なのはキチジローというキャラクターの描かれ方。窪塚くんが本当に素晴らしい。
ライムスター宇多丸/ラッパー・ラジオパー ソナリティ
TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」1月28日放送分より