日時:1月22日 (日)
場所:代官山 蔦屋書店 3 号館 2 階 音楽フロア
登壇者:小川隆夫、及川亮子
『ホテル・ルワンダ』(04)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた実力演技派俳優、ドン・チードルが監督、主演、脚本、製作を務めた『MILES AHEAD/マイルス・デイヴィス 空白の 5 年間』が全国順次公開中。公開を記念し、代官山 蔦屋書店にてトークイベントが行われた。
月に 1 度音楽コンシェルジュ及川亮子と一緒に音楽を聴きながら語り合う、施設オープン以来続いている人気イベント「代官山JAZZ トーク」。ジャズジャーナリストであり、医者でもある小川隆夫をゲストに迎えジャズの帝王「マイルス特集」として小川がセレクトしたマイルスの名曲を聞くことのできる休日の朝にぴったりなトークイベントが行われた。
―マイルスとの出会い
小川はマイルスについて「初めはあまり気になっていなかったんです。ちょうど東京オリンピックやアイビールックが流行っていた学生の頃にLPを小脇にかかえるのが格好良いと思って、シャツを買うお金でレコードを買いました。その頃からジャズ喫茶に通うようになり「スイングジャーナル」なんか読み始めて・・(マイルスを)最高だと思ったのが高校2、3年生くらいだったかな。」とマイルスとの出会いを振り返った。
―映画『MILES AHEAD~』について
現在全国公開中の『MILES AHEAD~』に話が及ぶと、本作の字幕監修を手掛けた小川は「この作品はいわゆる“音楽映画”ではないし、“伝記映画”でもないですよね。マイルスが暴れまくりますしピストル撃っちゃうんだから!(この作品では)彼のキャラクター、イメージでストーリーを膨らま
せていて史実と照らし合わせるのが目的ではない、別のおもしろさがあります。」それを受け及川は「あまりマイルス、マイルスしていない所が私は逆にとても良かったです。」と語ると会場の半分ほどがすでに映画を鑑賞しており、その解説に頷く姿も。
劇中にも登場するマイルスのかつての妻・フランシス・テイラーがジャケットの「Someday my prince will come」のレコードを取り出し「マイルスはいつもフランシスの(鼻の下に)ヒゲを描くんですよ。」と直接マイルスと接していた人物だから知りえる秘話が飛び出し、直筆サインといたずら描きが足されたレコードを前に会場の笑いを誘っていた。
マイルスがスタンダードなナンバーを好んで演奏をしていた頃の話やマイルスが信頼していたギル・エヴァンスと出会いクラシックとジャズの両方からのアプローチで新しい挑戦をし続けたことなど、小川がマイルスに「ドク」と呼ばれ、その後20 回ものインタビューを敢行した経緯なども語られ、普段家では聞くことの出来ない大音量で、味わい深いマイルスの魅力を再確認するような選曲に、途中で立ち見が出るほどの盛況ぶりでイベントは終了した。