愛媛県の宇和島市を舞台に、自転車で市民に本を届ける図書館の自転車課の人々の姿を描いた映画『海すずめ』が7月2日(土)に公開を迎え、主演の武田梨奈をはじめ、小林豊、内藤剛志、岡田奈々、目黒祐樹、吉行和子、大森研一監督が有楽町スバル座にて行われた初回上映後の舞台挨拶に登壇した。
大きな拍手と歓声に迎えられた登壇陣一同、ようやく公開を迎えて観客に作品を届けることができて満面の笑み!大森監督は「3年ほど前から宇和島市をはじめ、多くのみなさんに支えていただき、ようやく完成し、ようやく公開を迎えて嬉しいです」と万感の思いを口にする。武田も「人と人の輪をテーマにした作品ですが、現実でもそれが大切だと実感しました」と充実の表情で思いのたけを語った。
昨年の9月に約3週間、当地に滞在し、撮影が行われたが、武田をはじめキャスト陣から出てくる思い出は食べ物の話ばかり…?武田、小林らは撮影がオフの日は、自転車であちこちを巡ったそう。小林は「食べ歩きツアーでいろんなところに行きました!商店街はほぼ食べつくしたし、3キロ太りました(笑)」と振り返る。
武田も「誰に見せるでもないのに食レポしてました(笑)」と述懐。目黒が「差し入れで現場に常に愛媛みかんがありました」と語れば、武田が「1日15個くらい食べてました」と明かすなど、舞台挨拶ももはや食レポ状態!現地で食べたもののベスト3を尋ねられると、小林が「じゃこ天にじゃこカツ、刺身を使った鯛めし!それからみかんですね!」と語り、これに一同「うんうん」とうなずいていた。
内藤と岡田は、武田が演じる雀の両親を演じたが、内藤は岡田を見やり「昔、恋人だったんです(笑)!」と驚愕の告白!? それは2人が出演した1983年公開の映画『オキナワの少年』の中でのことだが、内藤は「(当時の恋人同士の)役がまだ残っていた」とスムーズに夫婦役になれたとニッコリ。岡田はかつての恋人(?)を見やり「全然、お変わりなくてびっくりしました」と嬉しそうに語っていた。
また、吉行は離島の九島に住むトメを演じ、雀との交流が描かれたが、撮影を楽しんだようで「こういうのだったら、年をとってもいいなと思いました。瀬戸内海が好きなんですが、撮影当時はまだあったフェリーに乗って島に行き、のどかでいい気分でした」と微笑む。武田も「安心感があって、包み込んでくださいました。肩の力を抜いてました」とリラックスして撮影に臨めたと明かした。
ちなみに、地元の宇和島では先日、宇和島市と九島を結ぶ九島大橋が開通。これに伴い、新たに開設された展望所は映画にちなんで「海すずめ展望所」と名付けられた。武田、小林、大森監督は開所式に出席し、テープカットと記念の植樹を行なった。武田は「名前がずっと残るというのは本当にありがたいこと!」と感激を口にする。監督はこの時のエピソードとして「植樹であんずの木を植えたんですが、小林くんは『植毛してきました』と言った(笑)」と暴露し、劇場は大爆笑に包まれた。
最後に改めて武田は「撮影中、大きなハプニングもあって『もう撮れないかも』と思った瞬間もありました。そんな時、内藤さんが『こういう時だからこそ団結しよう』と仰ってくださりました。映画でも、あきらめなければチャンスは来るということが描かれてますが、まさにそうやって完成した映画です!」と語り、地元の宇和島に伝わる“伊達の一本締め”で舞台挨拶を締めくくった。