新鋭グラハム・フォイ監督が思春期を夢幻的に紡ぐ。ヴェネチア映画祭で受賞「メイデン」

新鋭グラハム・フォイ監督が思春期を夢幻的に紡ぐ。ヴェネチア映画祭で受賞「メイデン」
提供:キネマ旬報

喪失感と孤独を抱えた少年少女3人のひと夏の出来事を紡ぎ、第79回ヴェネチア国際映画祭ヴェニス・デイズ部門で“未来の映画賞”に輝いた新鋭グラハム・フォイ監督の初長編「メイデン」が、4月19日(土)よりシアター・イメージフォーラムほか全国で順次公開される。ティザーポスターと特報映像が到着した。

カルガリー郊外に暮らす高校生のカイルとコルトンは親友だ。住宅地をスケートボードで駆け抜けたり、渓谷で水遊びしたりと気ままな日々を送っている。夏休みが終わりに近づいたある夜、立入禁止区域で線路に侵入したカイルに悲惨な出来事が発生。新学期が始まってもそれを受け止めきれないコルトンは、喪失感に打ちひしがれながら、カイルとよく過ごした渓谷に足を向けるようになる。
その頃、同じ高校に通うホイットニーが行方不明に。奇しくもコルトンが渓谷の岩場で拾ったホイットニーの日記帳には、学校での人間関係に悩む切実な心情が綴られていた。果たしてホイットニーに何が起こり、どこへ消えたのか。孤立したコルトンは、どうすれば心の空洞を埋められるのか--。
2つのパートで構成し、16ミリフィルムで瑞々しく紡いだ本作。主演のジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネスは、オーディションで見出されて映画デビューを果たした。撮影は数々のミュージックビデオや短編を手掛けてきたケリー・ジェフリーが担当。ミステリアスかつメランコリックで夢幻的な世界に心奪われる。

グラハム・フォイ監督のメッセージ
私はアルバータ州カルガリーの「メイデン」が撮影された地域で育ち、十代の頃は映画の中心的なロケ地である渓谷で過ごしました。「メイデン」は完全に自伝的というわけではありませんが、映画で起こる出来事、登場人物、場所には個人的な繋がりが多くあります。悲しみ、孤独、喪失、友情、十代の生活の精神的および感情的な混乱。これらはすべて青春映画の古典的な要素ですが、私にとって「メイデン」は、2つの柱に分けた詩的なビジョンであり、宇宙的な繋がりを持つ物語です。
「死後の待合室」と思われる場所でカイルとホイットニーの道を織り交ぜ、コルトンの深い絶望と憂鬱、声にならない叫び、淡々と流れていたそれぞれの平凡な日常があっけなく終わってしまい、それぞれの道を歩み始めるのです。3人の人生に欠けていたパズルのピースが、観客にも伝わり、私たちの心に残る作品になっていたのなら嬉しいです。

「メイデン」
監督・脚本:グラハム・フォイ 撮影:ケリー・ジェフリー
編集:ブレンダン・ミルズ 美術:エリカ・ロブコ 録音:イアン・レイノルズ
プロデューサー:ダイヴァ・ザルニエリウナ、ダン・モントゴメール
出演:ジャクソン・スルイター、マルセル・T・ヒメネス、ヘイリー・ネス、カレブ・ブラウ、シエナ・イー
原題:The MAIDEN 日本語字幕:上條葉月
提供:クレプスキュール フィルム、シネマ サクセション 配給:クレプスキュール フィルム
2022年/カナダ/英語/カラー/16mm/ヴィスタ/117分
© 2022 FF Films and Medium Density Fibreboard Films.

最終更新日
2025-01-20 14:13:04
提供
キネマ旬報(引用元

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