“同性愛者は存在しない” 時代、詩人と青年は恋に落ちた--。ジャンニ・アメリオ監督「蟻の王」

“同性愛者は存在しない” 時代、詩人と青年は恋に落ちた--。ジャンニ・アメリオ監督「蟻の王」
提供:キネマ旬報

「同性愛者は存在しない」とされたファシスト政権下のイタリアで、詩人と青年は恋に落ちた--。名匠ジャンニ・アメリオ監督が、詩人で劇作家のアルド・ブライバンティとその教え子をめぐる史実 “ブライバンティ事件” にインスパイアされて撮り上げ、第79回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門に出品されて独立賞5部門を受賞した「蟻の王」が、11月10日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMA、アップリンク吉祥寺ほかで全国順次公開。ポスタービジュアルが到着した。

1960年代、ポー川南部の街ピアチェンツァに住む詩人かつ劇作家で、蟻の生態研究者でもあるアルド(ルイジ・ロ・カーショ)は、教え子の若者エットレ(レオナルド・マルテーゼ)と惹かれ合い、ローマに出て共に暮らし始める。しかしエットレの家族は二人を引き離し、アルドは逮捕され、エットレは電気ショックで同性愛を “治療” するため施設に送られてしまう。
そして世間が好奇の目を向ける中、裁判が開始。新聞記者エンニオ(エリオ・ジェルマーノ)は熱心に取材を重ね、不寛容な社会に声を上げるが……。
1968年にアルド・ブライバンティが若者への「教唆」の罪で逮捕されたことに、小説家のアルベルト・モラヴィアやウンベルト・エーコ、映画監督のピエル・パオロ・パゾリーニやマルコ・ベロッキオといった芸術家たちが強く反対し、激しい議論を巻き起こしたのが “ブライバンティ事件” だ。アメリオは「今も存在する“異なる人”に対する憎悪に立ち向かう勇気を与えたい」と制作動機を語っている。
アルドを演じたルイジ・ロ・カーショ(「輝ける青春」「夜よ、こんにちは」「いつだってやめられる」シリーズ)は、「ブライバンティの複雑さと弱さを驚くほど繊細に表現している、卓越した演技」(londonmumsmagazine)と称賛された。エットレ役は新星レオナルド・マルテーゼ。新聞記者エンニオには、カンヌ国際映画祭男優賞受賞歴を持つエリオ・ジェルマーノが扮する。
5月のイタリア映画祭でのプレミア上映を経て、いよいよ正式公開。尊厳を問う物語に、心が震える。

「蟻の王」
監督・脚本:ジャンニ・アメリオ
脚本:エドアルド・ペティ、フェデリコ・ファバ 編集:シモーナ・パッジ 撮影:ルアン・アメリオ・ウイカイ 美術:マルタ・マッフッチ
出演:ルイジ・ロ・カーショ、エリオ・ジェルマーノ、レオナルド・マルテーゼ、サラ・セラヨッコ
2022年/イタリア/イタリア語/ビスタ/カラー/Dolby Digital/140分 映倫:G
原題:Il signore delle formiche 英題:Lord of the Ants 字幕翻訳:吉岡芳子
配給:ザジフィルムズ 後援:イタリア大使館、イタリア文化会館
HP:http://www.zaziefilms.com/arinoo
© Kavac Srl / Ibc Movie/ Tender Stories/ (2022)

最終更新日
2023-08-02 09:31:53
提供
キネマ旬報(引用元

広告を非表示にするには