提供:キネマ旬報
昼は高校生で夜はハリウッドの娼婦となる少女エンジェルを描き、1984年サンフランシスコ国際レズビアン&ゲイ映画祭最優秀作品観客賞を受賞した「エンジェル」が38年ぶりに劇場公開される(9月9日より新宿シネマカリテほかで全国順次公開)。
昼間は全科目Aの成績優秀な女子高生、夜は街角の娼婦という二つの顔を持つエンジェル。ある日、娼婦を狙った変質者による連続殺人事件が発生、エンジェルの仲間も餌食となった。一瞬犯人を目撃したエンジェルは警察に協力するも、彼女に魔の手が迫る……。
必死かつ素直に生きようとする少女を主人公に、一般社会からはみ出した人々を熱い視線で描く「エンジェル」。監督を務めたのは、同じく夜の街を舞台に連続殺人鬼と刑事の攻防戦を描いた「ザ・モンスター」(82)の脚本家ロバート・ヴィンセント・オニールだ。リチャード・ラッシュ監督の「嵐の青春」(67)や「七人の無法者」(68)、さらには「イージー★ライダー」(69)の小道具担当として映画キャリアをスタートさせたオニールは、「THE PSYCHO LOVER」(70)や「WONDER WOMAN」(73)といったB級ドライヴ・イン・シアター向け映画を経て、80年代にロサンゼルスの街を舞台としたサスペンス・スリラーで才能を開花させた。「ザ・モンスター」の脚本執筆中にアイデアを思いついたという「エンジェル」では、長期間ハリウッド・ブルバードに出向いてシナリオを構想。ハリウッド・ブルバード自体が作品の主役であると彼は言う。
主演のドナ・ウィルクスは当時23才で15才の役を熱演、実際の娼婦に取材するなど入念な役作りで臨んだ。そして撮影のアンドリュー・デイヴィス(「野獣捜査線」(85)「刑事ニコ/法の死角」(88)「ハリソン・フォード 逃亡者」(93)「コラテラル・ダメージ」(01)などを後に監督)が、鮮烈な夜のロサンゼルスをフィルムに刻んだ。
配給はロジャー・コーマンが設立したNEW WORLD PICTURESが手掛け、製作費約300万ドルに対して全米初公開時に興収1,700万ドルを超えるヒットを記録。すぐさま続編が企画されたが、ドナ・ウィルクスの事務所が高額のギャラを要求、プロデューサーのサンディ・ハワードが激怒してキャスト変更を余儀なくされた。結局2本の続編が作られたが、いずれも内容・興行ともに失敗に終わった。
解禁された予告編は、昼間の高校と夜のストリートという、エンジェルの2つの世界が交錯。“彼女の選択、彼女のチャンス、そして彼女の人生” とは?
「エンジェル」
監督:ロバート・ヴィンセント・オニール
製作総指揮:メル・パール、ドン・レヴィン、サンディ・ハワード
脚本:ロバート・ヴィンセント・オニール、ジョセフ・M・カーラ
撮影:アンドリュー・デイヴィス
音楽:クレイグ・セイファン
出演:ドナ・ウィルクス、クリフ・ゴーマン、ディック・ショーン、ロリー・カルフーン、スーザン・ティレル
1983年/アメリカ/93分/G/1984年劇場公開作品(松竹富士配給)/原題:ANGEL)
© 1983 The Angel Venture. All rights reserved.
キングレコード提供 ビーズインターナショナル配給
公式サイト:https://newworldpicturesmovie.jp/angel/