現代のフランスを代表する映画監督のひとり、パトリシア・マズィ監督による最新作『サターン・ボウリング』が、2025 年秋にユーロスペースほか全国にて劇場公開することが決定。本作は、ロカルノ国際映画際2022 金獅子賞 ノミネート。そして、「カイエ・デュ・シネマ」 2022 年 ベストテン第 6 位に選ばれています。
父の遺産は呪われたボウリング場......正反対の兄弟の周囲で若い女性を狙った連続殺人事件が発生。現代に巣食う悪魔を炙り出す 衝撃のネオ・ノワール!
映画『サターン・ボウリング』は、『走り来る男』や『ポール・サンチェスが戻ってきた!』などのパトリシア・マズィ監督による長編第 5 作目。父親の罪によって取り返しのつかない傷を負った 2 人の異母兄弟の奇妙な物語だ。男性の悪に焦点を当てたイヴ・トマの脚本は「父の亡霊」という超自然的な要素を含みつつ、恐怖やトラウマ、ネグレクトがいかに救いようのない不幸のスパイラルを形成するかを隠喩的に描いている。
また、『落下の解剖学』(24)や『ナイフ・プラス・ハート』(18)などの撮影監督シモン・ボーフィスによる陰鬱で美しいカメラ、俳優の凄まじい演技によって強化されたグランジなネオ・ノワールの雰囲気は、マズィ監督がアートハウス・カルトの地位におさまらないことを示している。マズィ監督は、ニコラス・レイ、パク・チャヌク、大島渚などにオマージュを捧げながら、古典的なフィルムノワールの方法を踏襲し、かつてない衝撃とともに現代的な暴力の問題を炙り出す――。
本作は、パトリシア・マズィ監督の初の日本での劇場公開作品となります。父の遺したボウリング場を舞台に、男たちの結束と対立、沈黙と欲望が交錯する中で、崩れゆく秩序の中に潜む暴力を圧倒的な緊張感と映像美で描く、衝撃のネオ・ノワール作品『サターン・ボウリング』の続報をご期待ください!
また、今秋の公開に先駆けて、アンスティチュ・フランセ東京で 6 月 6 日(木)~7 月 19 日(金)にかけて開催される「映画批評月間―フランス映画の現在をめぐって 2024―」にて、同監督の特集上映も予定されています。
<パトリシア・マズィ監督コメント>
“この映画を監督する上でのチャレンジの 1 つが暴力をどう扱うかということでした。観客に見せるべきか? それとも他の多くの映画がそうであるように見せないほうが正しいのか? 悩んだ末、見せないという選択肢だと“暴力はどう生まれるのか?”という問題から逃げることになるのでは、と考えました。そして逃げないことにしました。勇気を持たないといけません。
この映画で描こうとしたのは現代の悲劇、今日の世界に根ざした“フィルム・ノワール”でした。『サターン・ボウリング』は世界の悪に対する解決策を何も示しませんし、何も解決しません。それどころか暴力や災難、権力、そして男女の関係についてさまざまな疑問を投げかけます。これらの疑問が開かれたまま、率直に問われる形にするため、この映画をはっきりしたものにしたい、無駄をそぎ落としてプリミティブなものにしたいと思いました。“
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© Ex Nihilo - Les Films du fleuve - 2021