『繕い裁つ人』『幼な子われらに生まれ』『Red』など多くの作品を手掛け、国内外の映画祭でも高い評価を受ける三島有紀子監督の最新映画 『一月の声に歓びを刻め』が、来年 2 月 9 日(金)に劇場公開されることが決定した。日常のささやかな時間に生まれる人間の軋みを描きつつ、現代の問題を浮かび上がらせ、観る者の心をえぐる三島監督の新作は、⻑編 10 作目となる節目の作品。
本作は、三島監督の強い気持ちで自主映画から製作がスタートしたオリジナル企画である。その想いに賛同した出演者やスタッフが結集して、最高純度のプロジェクトが実現した。監督自身が 47 年間向き合い続ける“ある事件”をベースに、北海道・洞爺湖の中島、伊豆諸島の八丈島、大阪の堂島の三つの“島”を舞台に、ストーリーの重要な存在として登場する“れいこ”をめぐる心の葛藤が描かれていく。
「船でゆく者」「船を待つ者」「船でくる者」と、“方舟(はこぶね)”をテーマに、それぞれ心に傷を負う三人のもと、三つのストーリーが交錯。別々の“島”で進行するストーリーがある共通項で交わったとき、そこに露わになる事実に驚きと戦慄が走る。彼らは船に導かれて何処にたどり着き、いったい何を見るのか? そして本作は、観る人それぞれの“れいこ”を浮かび上がらせる。
◆“れいこ”とはいったい何なのか?演じるのは個性的かつ魅力的な三人の俳優。
洞爺湖近くにひとりで暮らすマキを演じるのは、トランスジェンダーの先駆的存在で、『道頓堀川』(1982)や『自虐の詩』(2007)などで華麗なる女性を演じ続け、約 10 年ぶりの映画出演となるカルーセル麻紀。雪原で体を張った迫力の演技を披露する。
八丈島に暮らし、男手ひとつで育てた娘が妊娠して帰省し、突然の出来事に戶惑う父親を演じるのは、『蛇の道』(1998)や『ゼブラーマン』(2003、2010)など、主演作 100 本を超えるアナーキー映画の帝王・哀川翔。
愛する恋人とどうしてもセックスができない女性を演じるのは、『もらとりあむタマ子』(2013)や『旅のおわり世界のはじまり』(2019)など、あらゆる監督が求めることに映画女優として応え続け、本作では今までとは違う質の芝居を追求した前田敦子。
この度、三人の出演者と、三島監督からコメントが到着。
前田敦子は「やっとご一緒できた事が何より嬉しく、監督と呼吸を合わせるように撮影させていただいた時間は経験した事のない感情と感覚でした」と感無量。「今までやったことのないような役柄」を演じたカルーセル麻紀は「『これが最後の仕事になってもいい』、そんな思いで夢中で演じました。なんの後悔もありません」と、この作品にかけた熱い思いが伝わってくる。「これが三島組か!」と三島監督の本作へのただならぬ深い思いを感じた哀川翔は「ひとつ、ひとつ丁寧な描写で生まれた世界観を全宇宙に届けたい」と意欲に満ちたコメントを寄せた。
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『一月の声に歓びを刻め』2024 年 2 月 9 日(金) テアトル新宿ほか全国公開
配給:東京テアトル © bouquet garni films