累計発行部数360万部を超え、2010年に映画興行収入38.5億円を記録した超ヒット作『告白』から12年。数々の傑作を生み出し日本中を震撼させてきたベストセラー小説家:湊かなえが「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説」とまで語った渾身の作品で、累計発行部数120万部を超える『母性』(新潮文庫刊)が映画化!この秋11/23(水・祝)、母性が日本を惑わせる!
この度、10 月 27 日(木)に第 35 回東京国際映画祭において、本作の主演を務めた戸田恵梨香、共演の永野芽郁、そしてメガホンを取った廣木隆一監督が登壇し、完成報告会を実施。先日、日比谷で開催された第 35 回東京国際映画祭オープニングレッドカーペットでは、ひときわ煌びやかなドレス姿が大きな話題を呼んでいた戸田&永野が、当日夜にむかえる日本での初上映・ジャパンプレミアを前にした心境、そしてメッセージ性の強い本作への反響に期待を寄せる想いを全世界に向けて語りました!
用意された座席数を大きく超える取材申請を受けていた映画『母性』完成報告会。会場いっぱいに詰めかけた取材陣の前に、ブラック基調のエレガントな装いで戸田恵梨香、永野芽郁、廣木隆一監督が登場すると大きな拍手に包まれた。
戸田と永野は、この作品の撮影が初めての共演。母と娘の視点が交錯して描かれ、一つのシーンでも 180 度違った演技を要するという難役を演じきった 2 人は、劇中ではそれぞれの愛情がゆがんでスレ違ってしまう関係性ながら、戸田が「親子ほどの歳が離れているのか調べたくらい、永野芽郁さんの母なんて演じられるのか?と最初は心配もありましたが、私が演じた母・ルミ子が“(理想の)母になれなかった”人であるものの、現場では芽郁ちゃんが私のことを母として見てくれていたので、私もなんとか成立させられたなと思っています」とさっそく感謝を伝え、続けて「永野さんはとにかく涙がポロポロ流れてくるので、どうやって泣いているんですか?と初めて役者さんに訊ねました。すると永野さんからは、“悲しいと思ってお芝居しています”と返ってきました(笑)」と明かすと、永野も「普通のことを言ってますね(笑)」と笑い合い、さっそく息ぴったりの様子を見せる。永野も「戸田恵梨香さんが主演だと最初に聞いていたので、脚本も開く前に、戸田さんだったらやります!と決めたくらい、いつかご一緒したかったので純粋に嬉しかったです。スイッチが入った時の戸田さんは、“怪物”というか(笑)、おそろしいぐらいに誰も言葉がかけられないような感じでグワっと(役に)入っていくので、間近でそれを見させて頂けたのはすごく貴重な経験になりました。」と出演の決め手と本作の現場で体感した戸田の集中力について、笑いも交えながら尊敬のまなざしで振り返っていた。
娘を愛せない母、母を愛せない娘といういびつな関係性を演じた 2 人が、それぞれどのように役づくりをしていたのか問われると、戸田が「役についてや、そのシーンをどうやって成立させようか、という話はしていたと思います」と話すと、永野も「“これはどうしたらいいんでしょうか?”わたしからたくさん相談ばっかりさせていただいてました」と続け、廣木監督も「2 人がとても良い感じで、かなりハードなシーンも距離をしっかりとってそこにいてくれたので、僕はすごくやりやすかったです」と二人の絶妙な芝居を讃えていた。
改めて大変だった撮影を振り返り、戸田は「火事のシーンは大変でした。私の目線と、娘の目線、そしてそこにある事実の 3 つの視点があって、自分の中でしっかり理解しながらその時々のお芝居をしなくてはいけないし、火事の演出も加わる。スタッフの皆さんとももちろん、大地真央さんや(子ども時代の)娘役の役者さんとも意思疎通を取ることをすごく大事にしました。ここだけは視点が 3 つあるので作品全体を通してみても面白いと思います」と予告でも印象的に映し出されるシーンを挙げ、永野が「落ち葉の上に倒れるシーンが、本当に虫がすごくて...動いちゃいけないのに耳のあたりで音がすると勝手に体が動いてしまう...(笑)。動きたいけど動けない葛藤が大変でけっこうドキドキしました」と切実なエピソードを明かすと、戸田が「顔の近くをちらちら飛んでるのを払ってました(笑)」とシビアなシーンに隠された和やかな裏話を披露して会場を盛り上げた。
新境地との呼び声も高い難役を演じたことについて話が及び、戸田は「娘のままでいたい、母に愛され続けたい、という気持ちはきっと世界共通の感情で自然に芽生える感情なんじゃないかなと思います。親から受け取った愛情や意思、その経験から自分にできた価値観を娘に押し付けてしまう人だったので、演じたルミ子にとっては普通なんだけど周りからはおかしく見える、でも猟奇的なほどおかしい人には見えないようにする微妙なラインはすごく考えました。それほどおかしいことに彼女自身は気づいていない、という表現も考えたり、頭をたくさん使った現場でしたし、どれが事実なのか自分自身も疑いながらでした」と力を込めて話し、学生時代~母まで 20 年以上の幅広い年齢を演じたことに関しては「NHK 朝ドラ『スカーレット』で経験させていただいていたので、自分の引き出しとしてあったこともあり、運が良かったです」と笑顔を見せた。永野も「ただ母に愛されたい、母に喜んで欲しいという女性で、脚本でも現場でも“こうもうまくいかないものなのか”と感じながら過ごしていました。娘が母に自分を愛して欲しいと、漠然と思う気持ちはきっと皆さん持っているもので、形は違えどきっと共感してくださるんじゃないかなと思います」と明かした。さらに「現場に入るまでは、難しいな、少し間違えると何だこれ?となってしまうしどうしよう、と思っていたんですが、現場では戸田さんを見ているだけで私は大丈夫だと思えて、完全に戸田さんについていかせてもらいます!という感じでした」と、役柄の上では相容れない母娘でも、実際には信頼し合いながら演じきっていることをうかがわせた。
戸田、永野それぞれ自身の親子関係、母と娘の関係について問われると、戸田は「割と大事に守られてきたなと思います。幼少期は、プリンセスに憧れて、ドレスで走り回ってました」と天真爛漫な思い出を、永野は「私は良い娘だと思うんですよ!(笑) お母さんが喜ぶことをしたいと思っていて、行きたいところには自分が運転手となって連れて行きますし、月一くらいは出かけています。出演作は初日に必ず観に来てくれるのですが、母も良い母ですね(笑) この作品もとても楽しみにしてくれています」と微笑ましいエピソードを披露。2 人揃って素敵な母娘関係を明かしていた。また日常で最近“母性”を感じた瞬間について、戸田は「愛犬が寝ている姿にはやられますね」、永野も「実家で私も犬を飼っていて、歩き回るとずっと一緒にくっついてくるので胸がキューっとなるんですが、これが母性ですかね?(笑)」とこちらも揃って家族の一員である愛犬への愛情を明かした。
終盤には、9 月に開催されたバンクーバー国際映画祭でのワールドプレミアについての話題となり、原作・湊かなえと共に現地参加した廣木隆一監督が、「現地の観客の反応が結構面白かったんですよ。ここで笑うのか!とか。高畑さんは、出てくるだけで観客が笑う準備をしているし、(祖母、母、娘の)3 人で歩くシーンでも意外な笑いが起きていた。やっぱり親子関係のあり方は少し違うのかなと感じました。Q&A もあったんですが、湊さんがすべて答えてくれて、本当にこの作品を好きでいてくれていることも伝わった。この作品を送り出すお母さんのようで、ここに“母性”があるじゃん!とも思いました」と生で体感してきた観客の熱を明かす。
このあとに迎える日本での初上映・ジャパンプレミアもチケットは即完、戸田は「私が作品を観て感じたことと、皆さんが感じる世界のギャップがある作品だろうと思い、皆さんの感想を聞くのがとても楽しみです。母・ルミ子の目線で見る人、娘・清佳の目線で見る人、はたまたもっと上の世代の方もいて、それだけでも感想が変わってくると思うので本当に興味深い作品です」と胸の内を明かし、永野も「私自身も、(演じていて)これで合っているのかな、と色々感情を駆け巡らせて挑んだ作品なので、皆さんがどう見てくださるかとても楽しみです」とこの日を待ちわびていたことをうかがわせ、満を持して迎える映画『母性』の上映にむけて意気が揚がる報告会となった。
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配給:ワーナー・ブラザース映画 ©2022映画「母性」製作委員会