「素の僕にあてて書かれているように感じた」稲垣吾郎、今泉監督登壇!東京国際映画祭舞台挨拶『窓辺にて』

「素の僕にあてて書かれているように感じた」稲垣吾郎、今泉監督登壇!東京国際映画祭舞台挨拶『窓辺にて』1
「素の僕にあてて書かれているように感じた」稲垣吾郎、今泉監督登壇!東京国際映画祭舞台挨拶『窓辺にて』2

『半世界』など次々と斬新な役柄に挑んできた稲垣吾郎を主演に迎え、『愛がなんだ』『街の上で』などの今泉力哉監督による完全オリジナル作品『窓辺にて』は 11 月4 日(金)より公開。

この度、東京国際映画祭の舞台挨拶では、撮影エピソードや、本作に込めた思いなどたっぷりと語っていただいた。
冒頭の挨拶で稲垣は「昨日までは寒かったけれど、今日はポカポカしていてよかったです」とニッコリ。稲垣と今泉監督との出会いは今から 4 年前、2018 年の東京国際映画祭で稲垣の主演作『半世界』(コンペティション部門観客賞を受賞)と今泉監督の『愛がなんだ』が上映された。映画祭で出会いを果たした二人は、その後雑誌の対談で再会。当時、稲垣から「僕を主人公に映画を作るなら?」という質問をしたそうだが、実はそのときすでに企画は進行していたという。そのときの様子を振り返り、今泉監督は「実は今考えているところです、とは言えずに誤魔化しながら話しました」と苦笑いしていた。
脚本を読んだときには、今泉監督が生み出した言葉だと感じるセリフがあったとし、「僕をイメージして作ってくださった脚本だと伝わってきました」と笑顔の稲垣。MC から「ホテルで女性(玉城ティナ演じる高校生作家の留亜)がシャワーを浴びているときに、布団をかぶっているシーンが稲垣さんっぽい!」と指摘されると「それは初めての指摘です」と驚きつつ「確かに、あの状況になったら同じことをするかも...」とはにかみながら答えていた。

今泉監督らしい言葉が輝いている映画。「理解なんてしないほうがいい。理解しても裏切られるだけだから」など印象に残るセリフも多く登場する。こういった言葉が生まれる理由について今泉監督は「自分が感じていることを書くことが多いです。映画のセリフは決め台詞にすると現実世界からかけ離れてしまいます。それは避けたいので、普段使っている言葉で書くことは意識しました。ただ、今回の場合は、茂巳の役が小説家なので、しゃべり言葉と文語的な言葉が混ざっていても成立するのかなとは思っていました」と解説。さらに、稲垣自身がこれまでに背負ってきた期待や信頼は監督自身が想像できないものと前置きし、「稲垣さんのこれまでの経験、人生が役にのった気がしています」と稲垣が話すことでセリフが説得力を増すことや言葉が浮かない理由も説明していた。
稲垣は茂巳のセリフを「すごく理解できる」とし、「もし僕が結婚して妻が浮気をしていたら、ショックはショックだと思います。でも、その場でうまく感情表現ができないかもしれません。どのくらい落ち込んだらいいのか、どのくらい怒ればいいのか、ある種の“線”を考えてしまう自分がいると思います」と想像しながら「人の価値観はそれぞれだけど、(映画では)いろいろな登場人物が幸せになろうとしています。自分で言うのもなんだけど、彼らがとてもチャーミングに感じられる作品です」とおすすめしていた。

観客からの Q&A のコーナーでは時間の関係でたった一人だけが質問できることに。稲垣は「これは責任重大だ」とニヤニヤ。手を挙げた観客には「勇気のある方!」と微笑みながら称えていた。具体的な役作りについて稲垣は「パブリックイメージやこんな風に演じてほしいというイメージにあてて書くあて書きではなく、素の僕にあてて書かれているように感じました。僕が言いそうな言葉が出てくるので、監督には僕が思っていることを見透かされている気がしました」とちょっぴり恥ずかしそうに微笑み、「(現場で)自然に佇んでいれば茂巳としていられました。お芝居しすぎない今泉組のお芝居のスタイルに自分をチューニングしていく形であわせていきました。僕にとって最高の経験でした」と撮影を振り返っていた。
「映画を作るにあたり参考にした作品は?」という質問に今泉監督は「具体的なものはありません」と回答。目指したのは現実世界で良い、悪いとされていることへの“問い”だとし、「例えば、手放すことがマイナス、続けることがプラスとされているけれど、実は手放すことは次に進むために必要なことだったりします。これがいけない、これがいいということを“疑おう”という作品です。共感やみんなが知っている感情は主題になりやすいですが、僕は他人には理解されないような小さな悩みを主題にしています」と本作のテーマについても丁寧に解説した。

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©2022「窓辺にて」製作委員会

最終更新日
2022-10-26 17:00:00
提供
映画の時間編集部

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