NHKで放映されギャラクシー賞候補になるなど大きな反響を呼んだドキュメンタリーが、全長版の映画『ぼくが性別「ゼロ」に戻るとき 空と木の実の9年間』として正式に劇場公開することが決定!2020年5月22日(金)よりアップリンク渋谷ほかにて順次公開。
《女》から《男》へ、そしてその先にあるものとは―?性別を超えた、あるがままの「わたし」と出会うまで
女性として生まれたが、自分の性に違和感を持ち続けていた小林空雅さん。13歳のとき、心は男性/生物学的には女性である「性同一性障害」と診断される。そして、17歳の時に出場した弁論大会では、700 人もの観客を前に、男性として生きていくことを宣言。そして若干 20歳で性別適合手術を受け、戸籍も男性に変えた。本作はそんな 1人の若者の9年間の変化と成長を描いた《こころの居場所》についてのドキュメンタリーです。
空雅さんは、78歳で性別適合手術を行い女性となった八代みゆきさん(95歳)、男と女に二分される性に違和を感じ、自ら「X ジェンダー(性別なし)」であることを明かして、性の多様性を伝える中島潤さん(26 歳)らと出会っていく中で、改めて自身の性について見つめなおす。そして、映画の最後で下した判断は驚くべきものでした。LGBTQ やジェンダー、同性婚の問題など、いま性についての関心が世界中で広がっています。この映画は、性の違和に苦しみ、それでも自分らしく生きる人々の姿を通して《性別》に限らず、誰もが生きやすい社会に近づくための気付きを与えてくれます。
監督を務めたのは、元 NHK ディレクターの常井美幸。2010年、新聞記事で「心と体の性別が一致しない性同一性障害の子供たちは、男女別の生活を求められる学校で、さまざまな悩みや苦しみを抱えている」ことを知ります。当時は、LGBT という言葉も普及していなかったころ。そんな子供たちを取材したいと考えていたとき、偶然知り合ったのが小林さんでした。まだ迷いと不安が見え隠れする 15歳。男子生徒として多くの友人に恵まれた高校時代。身体を男性に近づけるための2つの手術。法的な手続きを経て正式に男性になるまで。そしてそれから――実に9年間にわたりカメラはその生活の一部始終を捉えていきます。昨年 11月に、本作を短縮版として再編集した「僕が性別“ゼロ”になった理由」が NHK で放映されると、ギャラクシー賞候補になるなど大きな反響を呼びました。加えて公開に先立って行われている自主上映会は全国 50回以上、3000人以上を動員。たくさんの観客から熱心な支持を受ける本作が、いよいよ劇場公開となります。
<監督・常井美幸 コメント>
劇場公開に向けて:性別の向こう側に隠れていた「ありのままの自分」
「どうしたら自分らしさを失わずに、この社会で生きていけるのだろう?」私は常に自分自身に違和感をもちながら、自分の居場所を探してきました。人格の根幹である「性」が揺れている人たちを描くことで、その答えを見つけようとしたのかもしれません。登場人物たちはそれぞれ「自分とは何者か」「自分らしい生き方」を真剣に模索する人たち。「性別」という枠を超えた向こう側には、本当の自分がいることを見つけた人たち。彼らと出会うことで、私は自分の生き方を問い直し、新たな気づきをもらい、自分が目指す社会へのイメージを膨らませるきっかけをもらいました。
このドキュメンタリーは「性別」をモチーフにしていますが、「性別」のことだけを描きたかったわけではありません。男と女だけではない、いろいろな形の性別があることを描くことで、カテゴリーの枠をはずれて自分らしく生きられる社会、ひとりひとりが互いの違いを超えて受け入れあえる社会。そういう自由な社会に少しでも近づけたらと思って制作しました。このたび劇場で公開されるにあたって、ひとりひとりが自分らしい生き方を問い直すきっかけになったらうれしいです。
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『ぼくが性別「ゼロ」に戻るとき 空と木の実の9年間』
5月22日(金)よりロードショー!以降全国順次
©2019 Miyuki Tokoi