『シェイプ・オブ・ウォーター』(17)が金獅子賞を受賞した《第74回ヴェネチア国際映画祭》にて最優秀監督賞にあたる銀獅子賞を受賞。その後も《サンセバスチャン国際映画祭》や《トロント国際映画祭》など、数々の映画祭で喝采を受け、フランスで最も権威ある映画賞《第44回セザール賞》にも最多10部門ノミネート中(発表は2月22日)。アメリカの映画批評サイトRotten Tomatoesでは94点の高評価を獲得している注目作です。フランスの映画サイトAllocineでは2018年のTOP1映画に選出。ほかにも、鬼才ジョン・ウォーターズ監督が2018年の映画ベスト10に本作を選ぶなど世界中から高い評価を受けています。
主人公は、離婚した父親アントワーヌと母親ミリアムの間で揺れ動く息子ジュリアン。まだ11歳の彼は母親を守るために必死で嘘をつき続けるが…。ドメスティック・バイオレンスという重いテーマをサスペンスフルに描く本作は、封切られてから満席を連発し、多くの反響を呼んでいる。なかでも、DV男のアントワーヌを演じるドゥニ・メノーシェの演技力が高すぎて怖すぎ!と話題だ。今回解禁されたインタビュー映像では、そんなドゥニと共に元妻のミリアム役を演じるレア・ドリュッケールの2人が登場。レアは「(ミリアムは)不当性を認めてもらい自分の権利を主張したいのに手段がない。救いを求めてもムダだということを分かっている。諦めの気持ちもある」とDV被害においてSOSを発信する難しさを語る。
続けてドゥニは「アントワーヌは間違っている。でも、それが彼の真実の姿。冷静でいられずどんどん興奮していく。疲れも積み重なり、異常な嫉妬を見せていく。それは、彼の心が病んでしまっているからだ」と役柄を解説する。本作のメガホンを取ったグザヴィエ・ルグラン監督は本作のPRの為に来日した際に「私は映画を観終わった後一緒に観た友人などと語り合う時間が大切だと思っている。少し重たいテーマではあるけどもこの映画を通して考えるきっかけになればと思うし、少しでも影響を与えられたら本望だ」と話しており、昨今DVの被害によるニュースが後を絶たない日本でも、これらの問題に目を向けるきっかけになることを願っている。
世界共通である家庭のテーマに真正面から挑む映画『ジュリアン』は、新宿シネマカリテ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開中です。
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