P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2022-05-27
何者かが映像自体を封印しようとするラストシーンのブラックユーモア,機知に富んだ展開と本篇が公開禁止される現状とが見事に重なって
じんせいたくしー
総合評価4.4点、「人生タクシー」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。
何者かが映像自体を封印しようとするラストシーンのブラックユーモア,機知に富んだ展開と本篇が公開禁止される現状とが見事に重なって
そして,アッパド・キアロスタミ監督作品を彷彿させる人間ドラマ波乱万丈な究極のロードムービー何だゼ
本日NHKBSの世界のドキュメンタリー番組「闘う女性弁護士」を見ていたら本篇に出演していたナスリン女史の姿が在った…。命懸けで映画を撮っていた監督作品と迫害に抗議する弁護士のシーンは劇映画で有りながら厳しい現実を捉えていたのだった
NHKBS1で再放送された「地球タクシー」のネパール・カトマンズのタクシードライバーの紀行番組を視聴。地震復興シーンを交えた街並み。人間模様から本篇を想い浮かべ
そして公権力に作家の表現の自由を奪われている不条理な現実に抗う手段が、おおらかなユーモアだった…。恰も乗り合いタクシー見たいな状況で乗客同志の或いはタクシー運転手稼業の映画監督との対話と車窓風景のショットが、ウデイ・アレン監督の映画「人生万歳!」風に時に饒舌に展開して行くー。どんなに封印され禁じられても映画に為って仕舞うと云う映像喚起の表現力、本編を最先端の映像表現の映画「ブラック・スワン」のアレン・ダレノフスキー監督ら映画人が賞賛するのも決して偶然では無い!
「これは映画ではない」と云う映画を撮って仕舞う必然が本編のスタイルにも読み取れる…。本当の事は覆われて公表する事が困難な社会情況を、公権力の検閲と上映禁止にめげずに製作し発表する事こそが、自由な作家の精神である事をカメラを武器に訴え続ける、其の愛と勇気と溢れ出るアイデア。
パンフレットが貧弱すぎる。作品を読み解く鍵となるイラン事情は皆無。不条理劇のような様相の本作、もやもやだけが残った。パナヒのアイディアと心意気はすごいと思うが、やはり大事なのは映画そのものなのだから。