シネマパラダイス・ピョンヤン 作品情報

しねまぱらだいすぴょんやん

北朝鮮唯一の映画学校、ピョンヤン演劇映画大学。選ばれた若者たちが、娯楽のためでなく、北朝鮮の思想原理である“主体思想”を表現するために訓練を受けるエリート機関だ。“我々は金正日将軍様が導かれた思想哲学に則って”物語を考え、脚本を執筆し、“祖国の草木を愛することから始まる愛国の精神”で演出し、演技する。北朝鮮において俳優は、歌、ダンス、演技の全てをこなさなくてはならない。俳優の卵であるリ・ユンミは科学者を父に持つ特権階級の娘だが、父親の反対を押し切って受けたピョンヤン演劇映画大学のオーディションに合格。今では両親の応援を得て女優への道をまっしぐら。だが、ダンスが苦手でぽっちゃり体型の彼女は、先生から太り過ぎを注意されている。一方、映画監督と国民的女優を両親に持つキム・ウンボムは、医師役で短編映画に出演したものの、“お前の声は軽すぎる”と映画監督の卵から檄を飛ばされる。彼女は言う。“将軍様に喜びを捧げる俳優になりたい。”俳優である前に愛国者になって欲しいと言う母親に、愛国者と俳優の違いは何かと尋ねた。“いい俳優になれば愛国者です。”朝鮮芸術映画撮影所を案内してくれたのは、ベテラン映画監督のピョ・グァン。1960年代の日本の街、1950年代の韓国の街、1930年代の中国の街……。全て将軍様が造って下さった広大なセットだ。“将軍様のお陰で海外に行って撮影する必要がない”と豪快に笑うピョ監督。彼は、朝鮮人民軍の兵士数百人を動員した先軍政治50年記念の超大作撮影の真っ最中。日本による植民地支配時代に祖父母が体験した苦難の思いを受け継いだ作品だ。朝鮮軍が解体される場面では、“祖国を奪われた!泣け!”と大声を張り上げるが、朝鮮人民軍の兵士たちは、戦争を知らない20歳足らずの若者たちがほとんど。怒声は虚しく響くが、キャストやスタッフを鼓舞し、金正日将軍へ“傑作”を贈ることが監督の任務なのだ。

「シネマパラダイス・ピョンヤン」の解説

2009年に、北朝鮮の演劇映画大学に通う学生や撮影現場で奮闘する映画監督の姿を取材し、同国の映画制作の実態に迫ったドキュメンタリー。報道からは分からない人々の素顔が垣間見える。ピョンヤン国際映画祭への出品を機に、粘り強い交渉の末、本作を実現させたのはシンガポールの映像作家ジェイムス・ロンとリン・リー。

北朝鮮の思想原理“主体思想”を映画で人民に伝えるべく、同国唯一の映画学校であるピョンヤン演劇映画大学で、演出や演技、脚本などを学ぶ若者たち。そんな彼らの姿と北朝鮮の知られざる映画事情を2年間にわたって追いかけたドキュメント。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2014年3月8日
キャスト 監督ジェイムス・ロン リン・リー
配給 33 BLOCKS
制作国 シンガポール(2012)
上映時間 93分

(C)Lianain Films

ユーザーレビュー

レビューの投稿はまだありません。

「シネマパラダイス・ピョンヤン」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。

最終更新日:2022-07-26 11:03:27

広告を非表示にするには