壊された5つのカメラ パレスチナ・ビリンの叫び 作品情報
こわされたいつつのかめらぱれすちなびりんのさけび
2005年2月、パレスチナ・ビリン村で農業を営むイマードは、四男ジブリールの誕生に合わせて最初のカメラを手に入れる。ビリン村では分離壁が村の中央を通り、耕作地の半分以上が奪われることが判明する。村民は金曜日の礼拝後に穏やかなデモを始め、イマードはデモを撮影する。イマードの友人アディーブとフィールもデモに参加する。軍は人々を逮捕し始め、イマードのカメラも兵士たちに撃たれて壊される。イマードは友人のユダヤ人カメラマン・イスラーイルから2台目のカメラを譲り受ける。フィールの弟ダベアが建設現場のクレーンに登り、それをイマードは撮影する。ダベアは逮捕され、イマードのカメラは壊される。イマードは新しいカメラを購入し、3歳になったジブリールをデモに連れて行く。ある日、イマードは弟がジープで連行される様子を撮影する。その夜、兵士たちはデモで石を投げたとして子供たちを逮捕する。別の日、イマードの自宅に兵士が現れ、その様子をイマードは撮影する。連行されたイマードは数週間拘留された後、ビリン村から離れた場所で軟禁される。証拠不十分で解放されると、妻ソライヤは撮影をやめるよう懇願するがイマードは撮影を続け、3台目のカメラも撃たれる。2008年までに多くの村でも分離壁が侵入するようになり、デモが始まる。ビリン村は裁判に勝ち、より入植地に近い場所に壁を移すという決定が下されるが、一向に実行されない。イマードはトラックを運転していて分離壁にぶつかる。それが4台目のカメラの最後の映像だった。イスラエルの病院で20日間昏睡状態に陥ったイマードは、何の支援も受けられず、二度と肉体労働はできないと宣告される。デモが始まって4年、暴力は激化し、フィールが胸にガス弾を受け即死する。フィールの葬儀後のデモでアディーブが逮捕・投獄される。イマードも逮捕状を受け取るがデモの撮影に行き、カメラを撃たれる。2010年、イスラエルは古い壁を撤去し、入植地の近くに壁をつくり始める。
「壊された5つのカメラ パレスチナ・ビリンの叫び」の解説
パレスチナ・ビリン村の農民イマード・ブルナートが、イスラエル軍による分離壁の建設に抵抗する村人のデモを撮影し、イスラエル人監督ガイ・ダビディと共同で作り上げたドキュメンタリー。2011年アムステルダム国際ドキュメンタリー映画祭審査員特別賞、2012年サンダンス映画祭ワールドシネマ監督賞他、受賞多数。
パレスチナのビリン村で暮らす監督が、四男の成長を記録すると共に、村の様子を撮り続けた貴重なドキュメンタリー。カメラが記録したのは愛する息子の成長と、いつしか分離壁が作られ、略奪がおこり、非暴力のデモが起こる村の変化だった。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2012年9月22日 |
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キャスト | 監督:イマード・ブルナート ガイ・ダビディ |
配給 | 浦安ドキュメンタリーオフィス |
制作国 | パレスチナ イスラエル フランス オランダ(2011) |
上映時間 | 90分 |
公式サイト | http://urayasu-doc.com/5cameras/ |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2018-09-26
放送大学の世界文学への招待〈パレスチナ文學〉篇で紹介されていたのが本編。占領と言う名の他民族抑圧の暴力、迫害の被害者が加害に廻って人間性を奪う「パレスチナ問題」、抵抗し抗う作家、映画監督、ジャーナリスト、作品群。ドキュメンタリーの本作も又5つのカメラを通しての現代の問題提起の一本だ!