縛師 BAKUSHI 作品情報
ばくし
※本作はドキュメンタリーのためストーリーはありません。
「縛師 BAKUSHI」の解説
緊縛という日本独特の文化に焦点を当て、縛るものと縛られるものとの関係性を描くドキュメンタリー。監督は「M」「ヴァイブレータ」の廣木隆一。出演は、今もなお縛師として第一線で活躍する濡木痴夢男、雪村春樹、有末剛ほか。第36回ロッテルダム映画祭正式出品作品。19世紀、嗜虐嗜好であるフランスの小説家マルキ・ド・サドと、被虐嗜好を持つオーストラリアの小説家ザッヘル・マゾッホの頭文字を取り、S&Mという言葉が生まれた。当時S&Mといえば、非日常的隠微な欲望を意味した。しかし現代の日本では、S&Mは変態行為としてのプレイから精神論へと変化し、一般的に使用されるまでに至り、身近な言葉として存在している。しかし、S&Mはただの嗜虐と被虐という二極化したものではない。静寂でぴんと張り詰めた空気の中に、縄のきしむ音と、息づかい、徐々に漏れてくるモデルの声が響き渡る。モデルたちの声に反応して、縛師は縛り方を変え、モデルの反応を伺う。モデルは縛師の縄に呼応するように、艶やかな表情へと変化していく。縛師とモデルは、縛ることを通してコミュニケーションを取っている。縛師の一人・有末剛は、縛られたいという欲求は一つの精神の表現手段で、縛師というものは患者対医師みたいな存在なのかもしれないと語る。モデルの一人・卯月妙子は、緊縛されることで自分の感情が出しやすいと語る。エクスタシーとは死に向かうこと。縛られているモデルは快楽のためならば殺されてもいいとまで考えてしまう。それは、死に向かうからこそ知る生を感じるからだ。モデルが考える一番快楽を得られる方法を、縛師は見つめ続け、誘う。縛られることで自分を解放できる、縛りとは癒しなのかもしれないと話す彼女たちは、すべてを縛師にゆだねるからこそ最高の快楽を得ることができるのだ。縛っていくにつれ、S=サディズムとM=マゾヒズムという従来の意味が転倒するように見える。有末剛は、縄で縛るということは強く抱きしめていることだと言う。縄をほどかれたとき、三人のモデルは性欲とは違う感想を口にする。何か思い出しているのかもしれない、縄と解かれるときは寂しい、催眠術から解けるようでほっとする…。縛師は今日も、優しく抱きしめるように、縄を縛り続ける。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2008年5月31日 |
---|---|
キャスト |
監督:廣木隆一
出演:濡木痴夢男 雪村春樹 有末剛 早乙女宏美 すみれ 卯月妙子 杉山圭 杉浦則夫 |
配給 | スローラーナー=アットエンタテインメント |
制作国 | 日本(2007) |
上映時間 | 94分 |
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「縛師 BAKUSHI」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。