フランドル 作品情報
ふらんどる
フランス最北部・フランドル地方の小さな村。そこにわずかに人間が住まう。少女バルブ(アドレイド・ルルー)もそこに生きる。彼女の周りには幾人かの男たちが取り巻いている。デメステル(サミュエル・ボワダン)、ブロンデル(アンリ・クレテル)はそういった男たち。デメステルはバルブに心を奪われている。ブロンデルは彼女を誘った。彼女はそんな男たちとセックスを重ねる。デメステルはバルブへの強い想いを自分でもどう扱っていいかわからない。しかし彼はバルブとブロンデルが仲睦まじく連れ立っているのを目にしたことで動揺する。そんな男たちの想いとは別に、バルブはセックスを重ねる。男たちは戦場に赴く。男たちがいなくなったその地で、バルブはさらに男を求める。ゲリラ隊として戦場に赴いたデメステルとブロンデルたち。彼らの兵士としての暴力行為は日に日に残忍さを増していく。子供を殺す、女兵士を幾人もでレイプする。一方バルブは日に日に精神のバランスを失っていく。精神病院の車が到着し、彼女を別の場所へ運んでいく。ブロンデルが仲間からはぐれた。残った兵士たちも、道すがらひとりの農民を惨殺したことで、ゲリラに捕らえられる。敵の陣地に到着するとすでに捕まっていたブロンデルが暴行をうけていた。混乱に乗じてその場から逃れたデメステルとブロンデルは、熱帯雨林の中を逃げている。しかしブロンデルは足を撃たれ動けなくなる。敵が迫っている。デメステルはブロンデルを見捨てることを瞬間的に考える。彼は数日前、ブロンデルから「バルブが自分の子を宿している」ということを聞かされていた。ブロンデルはデメステルに見捨てられると悟ると、絶叫する。デメステルはひとり帰還した。果てしない農地はまたしてもデメステルを飲み込む。バルブとセックスをする。何が変わって何が変わらなかったのか、デメステルにはわからないままだった……。
「フランドル」の解説
フランドル地方の小さな村。美しいその土地で、少女バルブはあらゆる人間の罪を背負うように男たちとセックスを重ね、バルブを想うデメステルは彼女の強い感情に導かれるように、世界の果ての戦場へと駆り立てられていく。罪は許され、いつか癒されていくことはあるのか? 2006年カンヌ国際映画祭審査員グランプリ受賞作品。監督・脚本はブリュノ・デュモン。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2007年4月28日 |
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キャスト |
監督:ブリュノ・デュモン
出演:アドレイド・ルルー サミュエル・ボワダン アンリ・クレテル ジャン=マリ・ブルヴァール ダヴィッド・プーラン パトリス・ルヴァン ダヴィッド・ルゲ インジュ・デカエステカー |
配給 | アルバトロス |
制作国 | フランス(2005) |
上映時間 | 91分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-01-23
この「フランドル」は、カンヌ映画祭グランプリ(現在のパルムドール賞)受賞作で、暗くて貧乏くさくて悲惨な話なのに、観終わると荘厳な気持ちなってしまうから不思議な映画だ。
地方に生きる若い男女の愛を、戦場での悲劇と対比させながら描いている。
ブリュノ・デュモン監督お得意の暴力と性がテーマで、人間の罪と業を赦し、愛を与えるヒロインは、マグダラのマリアと重なって見える。
かなり衝撃的な場面もあるので覚悟して観る必要がある。
音楽を一切排除するなど、決して万人向けの作品ではないが、深みがある映画だ。