家の鍵 作品情報
いえのかぎ
若き日、出産で恋人を失った衝撃から、生まれてきた我が子を手放してしまったジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)。亡くなった恋人の家族が育ててきた息子のパオロ(アンドレア・ロッシ)は、障害を持って生まれていた。15年の空白を経て、初めてパオロと出会ったジャンニは、パオロをミュンヘンからベルリンのリハビリ施設に送り届けることになる。戸惑いを隠せないままベルリンに着いたジャンニは、重い障害を持つ娘を看護する穏やかな女性ニコール(シャーロット・ランプリング)と出会う。彼女との会話の中では、ジャンニはパオロの実の父親であることを中々認められないでいた。それでも徐々にパオロとの愛情の交流を実感し始めた彼は、いよいよ父親であることを引き受ける覚悟を決める。リハビリ施設を出て、パオロを船に乗せて2人で旅に出た。パオロが写真と手紙だけ交わしているガールフレンドの住むノルウェイに行くのが目的だ。その道程で、ジャンニはパオロを家族に迎えることを提案する。嬉しそうな顔を見せるパオロだが、しかし車の中で、急にジャンニの態度を試すかのようにわがままな振る舞いを始める。その態度に苛立つジャンニは車を止め、外に出て思わず涙を見せる。そんな彼を、パオロは抱きついて慰めるのだった。
「家の鍵」の解説
15年の空白を経て、障害を持った息子と初めて対面した父親の葛藤を描くヒューマン・ドラマ。監督・脚本は「いつか来た道」のジャンニ・アメリオ。共同脚本は「輝ける青春」のサンドロ・ペトラリアとステファノ・ルッリ。撮影は「いつか来た道」のルカ・ビガッツィ。音楽も「いつか来た道」のフランコ・ピエルサンティ。出演は「ピノッキオ」のキム・ロッシ・スチュアート、「スイミング・プール」のシャーロット・ランプリング、これが映画デビューとなるアンドレア・ロッシ、「炎の戦線エル・アラメイン」のピエルフランチェスコ・ファヴィーノ。2004年ヴェネチア国際映画祭3部門(パジネッティ賞ほか)など受賞。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2006年4月8日 |
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キャスト |
監督:ジャンニ・アメリオ
出演:キム・ロッシ・スチュアート アンドレア・ロッシ シャーロット・ランプリング アッラ・ファエロヴィック ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ |
配給 | ザジフィルムズ |
制作国 | イタリア(2004) |
上映時間 | 111分 |
ユーザーレビュー
総合評価:4点★★★★☆、1件の投稿があります。
P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★☆
- 投稿日
- 2019-09-18
障害児の息子と15年振りに再会し、ベルリンでのリハビリ検診の共同生活を通して、父として人として成長変化する男を見詰めたイタリア映画。現実を視る偽りのないジャンニ・アメリオ監督の姿勢は、イタリア映画のひとつの特徴である親子の絆をネオリアリズモの手法で描く今日的帰結にある。ベルリンの病院で知り合うランプリングの存在がドラマの厚みを増している。恋人を出産時に亡くした主人公の愛情の行方が再び息子に向けられ、淡い期待感と幸福に包まれたかに見えたラスト。運転を邪魔する息子に切れて現実に戻る自己反省の涙の流出は、フェリーニの名作「道」へのオマージュか。最後は、ノルウェーの美しい自然を背景にした、こころに沁みるイタリアらしいイタリア映画でした。