ある朝スウプは 作品情報

あるあさすうぷは

秋、10月―北川(廣末哲万)は、電車の中で突然か過呼吸の発作に襲われ、病院でパニック障害と診断された。社会生活がままならなくなってしまった彼は、在宅勤務によるパソコン入力の仕事を見つける。彼と同棲生活を続けている志津(並木愛枝)は、北川の病状を気遣いつつ、勤務先が遠くに移転するために転職を迷っていた。冬、1月―。会社をやめることになった志津の送別会の夜。深夜家に戻ると、北川の姿がなかった。そして見慣れぬ黄色いソファが部屋に置かれていた。朝帰りをした北川は、妹のインド旅行の土産だという数珠のブレスレットをしていた。違和感を感じる志津。北川が無断で外泊したことも、数珠も、そして何よりソファが嫌だった。訳もなくイライラを募らせる。再就職先もなかなか決まらない。一方北川は、連日のようにセミナーに通い出していた。ある日志津は、北川との共同の預金から40万円が引き落とされていることに気づく。それがソファの代金だと気づいた彼女は北川を責め立てる。北川が通っているセミナーは、宗教団体ではないかと。北川はそのソファは羊水でできていて、体内に蓄積されたカルマを浄化するためのものだと、志津を説得する。そして志津を勧誘しようとするのだった。ソファを家から運び出そうとする志津は、北川と激しく争う。ふたりの溝は深まるばかりだった。就職先も決まらず、北川にあたってしまう志津。2月―。志津の友人のキヨコ(木村利絵)が遊びにやってくる。北川は落ち着かないでいる。引きこもっている北川に他の人と交流してほしいと、志津が願ったからだ。しかし北川はキヨコが帰った後、彼女が自分のことを何と言っていたかを気にするばかりだった。ある朝。通勤途中の人々をぼんやり見つめる志津。家に戻った彼女は北川が隠れて電話をしていたことに激怒する。しかしそれはセミナーへの電話ではなく雇用保険についての電話だった。突然尿を漏らす北川。ふたりは追いつめられ、それぞれ別の世界へとどんどん閉じ込められていくばかりだった。志津の留守中に、セミナーの信者(高橋泉)が外出できない北川の元を訪れ、カルマを落とす儀式を行っていく。そして新しいグループの副班長に北川を推薦したいと言うのだ。北川は何とか志津にもその理念を理解してもらおうと説き伏せるが、志津は「気持ち悪い」と言って取り合わない。一方北川はその先輩信者からエネルギーを補給され、夜中に志津を起こして公園を歩き回る。彼は何かを確信したかのようだった。しかし志津に外出を禁じられ、そのストレスで彼女を突然殴る。志津はアルバイトで空き地の写真を撮っていた。北川と同じ数珠をした男の人影にとらわれて、路地に迷い込む志津。北川は部屋で発作に襲われている。3月―。どうしても病院に連れ出したい志津。しかし北川はその恐怖を、腕に多くの目を描くことで表現する。母親のようにマジックで描かれたその絵を消す志津。ある日、北川は志津の財布から金を盗もうとする。咎められた北川はトイレに逃げ込む。世界のカルマについてばかり語ろうとする北川。北川個人の、そして自分達のことについて語ってほしいと訴える志津。志津は何かを諦めたように、北川にお金を渡す。それを躊躇なく受け取る北川。そして笑みさえ見せるのだった。その様子を見て志津は、北川に平手打ちをする。春、4月―。朝。部屋では北川が荷造りをしている。ドアの外ではセミナーの信者が北川を待っている。志津は最後の朝食を準備する。

「ある朝スウプは」の解説

誰もが経験する、恋愛における絶望的な葛藤と終わり。その終焉から生まれる次の瞬間が、苦悩のなかで美しく描かれた純愛映画。監督は、黒沢清、石井聰亙、塚本晋也、犬童一心など日本映画界を背負う逸材を多数輩出してきたPFF(ぴあフィルムフェスティバル)で『PFFアワード2004』グランプリ&技術賞(IMAGICA賞)の受賞を皮切りに、2004年バンクーバー国際映画祭ドラゴン&タイガー・ヤングシネマ・アワード、2005年香港国際映画祭アジアデジタルビデオ部門、2005年インフィニティ映画祭(イタリア)メイン・コンペティション部門のそれぞれグランプリを受賞した、高橋泉。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2005年7月30日
キャスト 監督高橋泉
出演廣末哲万 並木愛枝 高橋泉 木村利絵
出演(声)垣原和成
配給 ぴあ=ユーロスペース
制作国 日本(2003)
上映時間 90分

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最終更新日:2024-05-29 02:00:08

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