ランド・オブ・プレンティ 作品情報
らんどおぶぷれんてぃ
ロサンジェルスの街の大通りに、古びたヴァンが停まっている。そのヴァンは改造され、天井から監視カメラが街並みを覗いている。監視用機材が所狭しと置かれた車内、短くなったタバコをふかしながら、男がモニターを覗いている。荒んだ街の様子を映し出している画面を見ながら、男は呟く。「あの攻撃からまだ2年と1日、警戒レベルは依然高いが、人々の危機意識は後退している」。男の名はポール(ジョン・ディール)。ヴェトナム戦争で負傷した後遺症に長年苦しめられ、誇り高き自由の地アメリカを一人で守ろうと、必死に警備を続けている。さらに、9.11に起こった事件が彼のトラウマを呼び起こす。一方、イスラエルのテルアビブ空港を出発した飛行機には、少女が乗っている。ロサンジェルス到着のアナウンスを聞きながら彼女は呟く。「神様、長い間遠く離れていた私を、生まれ故郷に連れ戻してくださってありがとう」。少女の名はラナ(ミシェル・ウィリアムズ)。アフリカとイスラエルで10年間過ごし、故郷アメリカへと帰ってきた。バックパック一つで降り立った彼女が見たのは、飢えで苦しむホームレスが溢れる町だった。宣教師の父を持つラナは、ダウンタウンの伝道所で生活を始める。そこでホームレスたちの支援活動にのめり込む一方で、亡き母から預かった大切な手紙を渡すため、伯父ポールを探していた。友達や家族と連絡を断っている自称母国警備員のポールは、怪しげなアラブ人を発見する。一度は男を見失うが、伝道所で見つけて安心する。そして日が落ちて暗くなった頃、事件は起こった。道端で数人のアラブ人が焚き火を囲みながら話している。そこへゆっくりと、黒い大型車が通りかかり、ホームレス目掛けて火炎瓶が投げつけられた。燃え盛るテント、逃げ惑う人々。その時一発の銃声が鳴り響き、一人の男が倒れた。その男こそポールが追っていたアラブ人だった。彼を抱きかかえたポールに、「トロナ」という言葉を残して男は息を引きとった。伝道所でその遺体を見たラナは泣き崩れる。そこへポールが近寄り、声を掛けた。「母さんにそっくりだな」。驚いた表情のラナ。探していた伯父さんにやっと出会えた。遺体の身元が判明、最後に残した言葉「トロナ」は、死んだアラブ人の兄の住む町の名前だった。ポールは事件の真相を究明するため、ラナは遺体を兄に届けるため、伯父と姪は共に出発する。目的、年齢、性別、そして生きてきた過程も、何もかも違う二人は衝突するが、ヴァンは遺体を乗せてトロナへと向かう。
「ランド・オブ・プレンティ」の解説
「都会のアリス」「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」のヴィム・ヴェンダースが、9.11以降のアメリカの迷走を俯瞰的な視点で見つめたヒューマン・ドラマ。アフリカ育ちの少女が、亡き母の手紙を届けるため10年ぶりに故郷アメリカに帰還し、伯父と再会。ふたりでアメリカを横断する旅に出る。出演はドラマ『ドーソンズ・クリーク』のミシェル・ウィリアムズ。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2005年10月22日 |
---|---|
キャスト |
監督:ヴィム・ヴェンダース
出演:ミシェル・ウィリアムズ ジョン・ディール ショーン・トーブ ウェンデル・ピアース リチャード・エドソン バート・ヤング ユーリ・Z・エルヴィン ジェリス・リー・ポインデクスター ロンダ・スタビンス・ホワイト ヴィクトリア・トーマス |
配給 | アスミック・エース |
制作国 | アメリカ ドイツ(2004) |
上映時間 | 124分 |
ユーザーレビュー
レビューの投稿はまだありません。
「ランド・オブ・プレンティ」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。