菊次郎の夏 作品情報
きくじろうのなつ
幼い頃に父親を亡くし、今はおばあちゃんとふたりで浅草に暮らしている小学校3年生の正男にとって、夏休みはそんなに楽しいものではなかった。学校の友達はみんな家族で旅行に出かけてしまうし、サッカークラブもお休み、おばあちゃんも仕事で昼間は家にいないのだ。そんな時、彼は遠くの町にいるお母さんに会いに行く決心をする。絵日記と宿題と僅かな小遣いをリュックに詰めて、家を飛び出した正男。そんな彼の気持ちを知った近所のおばさんが、夫で遊び人の菊次郎を同行させることにした。目指すは愛知県豊橋市。ところが、根っからの遊び人の菊次郎は競輪場に寄り道したり、タクシーを盗んだり、トラックの運ちゃんとトラブルを起こしたり、ホテルの人たちに迷惑をかけたりと、行き当たりばったりの旅を展開。それでも、ふたりは漸く正男の母親の住む家を見つけだすのだった。しかし、正男の母親は既にそこで違う家庭を築いていた。幸せそうな母親一家を見て落ち込む正男。そんな彼に、菊次郎は二人組のバイカーから奪い取った天使の鈴を渡し、「お母さんはもう別のところに引っ越してしまい、正男が来たらこれを渡してくれと言っていた」と精一杯慰めるのであった。さて、東京へ帰ることになった菊次郎と正男。ふたりはその道々、知り合ったバイカーたちや作家志望の青年とキャンプをして、楽しい時間を過ごすことにした。大人であることを忘れてはしゃぎ回る菊次郎。だが、そんな彼にもひとつ気になることがあった。それは、近くの老人ホームに入院している母親のことだった。ホームをこっそり訪ねる菊次郎。しかし、彼は老いた母親に声をかけられなかった_。夏も終わりが近づき、菊次郎と正男は浅草に帰ってきた。別れ際、菊次郎は「またお母さんを探しに行こう」と正男と約束する。
「菊次郎の夏」の解説
遊び人の中年男と母親を探す小学生、不釣り合いなふたりが繰り広げる一夏の冒険を描いたロードムービー。監督・脚本は「HANAーBI」の北野武。撮影を柳島克己が担当している。主演は、「残侠」のビートたけしと映画初出演の子役・関口雄介。99年度カンヌ国際映画祭正式出品作品。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1999年6月5日 |
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キャスト |
監督:北野武
出演:ビートたけし 関口雄介 岸本加世子 吉行和子 グレート義太夫 井手らっきょ 今村ねずみ 麿赤兒 細川ふみえ 大家由祐子 関根大学 田中要次 稲宮誠 村澤寿彦 ビートキヨシ 諏訪太朗 江端英久 徳永邦治 舘形比呂 瀬下尚人 右近良之 黒須洋壬 橋本拓也 石坂勇 小島可奈子 永田杏子 小林恵美 大葉ふゆ つかもと友希 安井祐子 荒井賢太 |
配給 | 日本ヘラルド=オフィス北野 |
制作国 | 日本(1999) |
上映時間 | 121分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「PineWood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2017-04-26
まるで絵本を捲るように物語は進む…。章立てのコント集とも見えるが、母を探してフーテンの菊次郎と少年との旅の想い出。!淡々としたロードムービーはヴィム・ヴェンダース監督作品や小津安二郎監督<一人息子>とかチャップリンの<キッド>等も連想させた。待ちに待った母への再会は、天使の風鈴の音の泪♪ホロリとした味わいの余韻を残す少年の成長譚となった。いつもながらカメラワークと久石譲の音楽もいい!