ブコバルに手紙は届かない 作品情報
ぶこばるにてがみはとどかない
ユーゴスラヴィア。クロアチア東部の古都ブコバル。ベルリンの壁が崩壊し国内で民族の独立運動が再燃、紛争が始まった。クロアチア人のアナ(ミリヤーナ・ヨコヴィッチ)とセルビア人のトーマ(ボリス・イサコヴィッチ)は結婚まもなく内戦に巻き込まれた。トーマはユーゴスラヴィア連邦軍に応召され、アナは実家に身を寄せたが、セルビア人と結婚した裏切り者と同胞は冷たい。アナはトーマに妊娠したことを告げるが、戦闘が激化する中トーマは音信不通になった。ある日。アナがパンを買いに出た間に両親は爆撃で死亡。放心状態の彼女は町をさまよい、幼い娘レンカを抱えた友人のラトカ(モニカ・ロミッチ)とかつて住んだ新居に身を置く。だがそんな二人を“戦争の犬”を自称するごろつきが襲い、家財道具を奪ったあげく彼女たちを犯した。一方トーマは各地を転戦したのち、ブコバルにやって来た。二人は再会するが、アナはトーマに「あなたは“正しい側”についてラッキーだ」と告げる。二人が溝を埋める間もなく、クロアチア軍の襲撃がはじまり、トーマは辛くも脱出。新居はクロアチア軍の拠点にされてしまい、新居が連邦軍の砲撃を受けるのを見ながらトーマは悲嘆に暮れた。アナとラトカ母娘は地下壕に避難。ラトカはそこで例のごろつきのリーダーを見つけ、ナイフを男の急所に突き立ててた。爆撃の中、壕の空気に耐えられなくなったアナは外へ飛び出す。無人になった店で清潔なタオルと食べ物を手に入れた彼女を陣痛が襲う。アナはひとりで出産した。廃墟になったブコバルの町。避難民用のバスが2台並ぶ。ザクレブ行きに赤ん坊を抱いて乗り込んだアナは、ベオグラード行きのバスの中にトーマをみつけた。見つめあう二人……ザクレブ行きのバスが去った後、トーマはひとりバスから降りて、町へ歩き出した。
「ブコバルに手紙は届かない」の解説
旧ユーゴスラヴィア紛争で引き裂かれた恋人たちの悲劇を描いたシリアス・ドラマ。監督は本作が日本初紹介となる、サラエボ出身でポーランドでアンジェイ・ワイダなどの下映画を学んだ『Zibot je lep(人生は美しい)』(79、日本未公開)などのボーロ・ドラシュコヴィッチで、脚本も夫人のマヤ・ドラシュコヴィチと共同で執筆。製作はユーゴスラヴィア出身でキプロスに在住し、自身の製作会社ダンフィルムを経営するダンカ・マンジューカを中心に、共同製作としてズラトコ・マンジューカ、ダンテ・パラディーノの共同、製作総指揮として「アメリカを斬る」(69)、「チャタレイ夫人の恋人」などのTVMを手掛けたスティーヴン・ノースが参加。撮影はアレクサンダル・ペトコヴィッチ。音楽構成はネナード・オストウィッチで、全編に渡りモーツァルトの『レクイエム』『ピアノコンチェルト23番』のほかフォークロアの数々を使用。美術はミオドラグ・ミリッチ、編集はスネジャーナ・イワノヴィッチ、衣裳はミリヤーナ・オストウィッチがそれぞれ担当。出演は「エバースマイル・ニュージャージー」「アンダーグラウンド」のミリヤーナ・ヨコヴィッチと本作が映画デビューとなるボリス・イサコヴィッチほか。撮影は物語の舞台となるかつて古都と謡われながら内戦で廃墟と化したブコバル市のほか、戦火を縫って現地でロケされた。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1997年4月5日 |
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キャスト |
監督:ボーロ・ドラシュコヴィッチ
出演:ミリャナ・ヤコヴィチ ボリス・イサコヴィッチ モニカ・ロミッチ ネボジャ・グロゴバッチ スヴェトラーナ・ボコヴィッチ プレドラグ・エジウス ドシツァ・ジェガラッツ ミハイロ・ヤンケティック |
配給 | シネマテン配給(イメージファクトリー・アイエム=シネマテン提供) |
制作国 | フランス イタリア ユーゴスラビア(1994) |
上映時間 | 96分 |
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