推手<すいしゅ> 作品情報
すいしゅ
ニューヨーク。太極拳の老師の朱(ラン・シャン)が、コンピューター技師として成功した一人息子アレックス(ワン・ボーチャオ)、その妻で作家の卵のマーサ(デブ・スナイダー)の夫婦と6歳の孫ジェレミーの家庭へ身を寄せて一ヶ月が経った。英語も分からず、アメリカン・ライフにも馴染まない朱が家にいることで、マーサは神経過敏になり、本の執筆も全く進まず、ストレスを溜め続ける。アレックスはそんな妻と老父の板ばさみで気苦労が絶えず、家庭は毎晩気まずい空気。そんなある日、朱は太極拳を教えていた中国人学校で見事な〈推手〉の技を披露したことから、料理教室の指導教師の陳夫人(ワン・ライ)と知り合い、お互いに親しみを感じ合う。ある日の夕方。散歩に出た朱が夜になっても帰らない。父を探し疲れたアレックスはマーサをなじり、キッチンで大暴れして外へ飛び出す。幸い、朱は夜中になって警察に保護されて帰宅した。マーサは朱に初めて優しい言葉をかける。アレックスは思案の末、父と陳夫人の仲を取り持つことで、二人が一緒になり、自分たちと別居生活を営んでくれるよう画策する。夫人の娘の同意も得て計画されたピクニックに、何も知らず喜んで出かける朱。ところが、こちらはすべてお見通しだった陳夫人から、子供たちの思惑を涙ながらに聞かされ、朱は置き手紙を残して家を出る。彼は中華街のレストランで皿洗いのバイトについたが、慣れない仕事にもたついて、経営者から嫌がらせを受ける。ほどなくクビを言い渡されるが、経営者の心ない罵倒に怒った朱は〈推手〉を使って、憤然と台所に居座る。すると従業員はおろか、経営者が呼んだ中国人ギャングなど誰が何人かかっても朱はビクともしない。最後は警察に逮捕されたが、その驚くべき超人的能力が起こした事件はテレビのニュースで報じられる。アレックスは父のもとに飛んで行き、心から詫びて、広い家に引っ越して一緒に住もうと請うが、朱はそれを断り、中華街の近くのアパートで一人暮らしをはじめる。アレックス夫婦は新居に引っ越し、朱のために用意した部屋で彼の〈推手〉を思い起こし、まるでそれは結婚のようだと語り合う。あの夜の出来事で中華街で有名人となった朱は、集まってくる人々にまた太極拳を教える日々に入っていた。そしてある日、朱は彼と同様、近所で一人暮らしをはじめた陳夫人と再会し、改めて交際を約束するのだった。
「推手<すいしゅ>」の解説
息子夫婦を頼ってニューヨークへ渡った太極拳の老師が、カルチャー・ギャップを乗り越え、心の平穏をつかむまでを描いたヒューマン・ドラマ。台湾出身の気鋭の映画作家アン・リーの監督デビュー作で、本作で主演をつとめた台湾の名優ラン・シャンを父親役に据えてこれ以降に撮りあげた「ウエディング・バンケット」(93、ベルリン映画祭グランプリ)、「恋人たちの食卓」(94、アカデミー外国語映画賞ノミネート)のニ作を含める〈父親三部作〉の第一作にあたる。共演は台湾のベテラン女優のワン・ライ、『Unknown Hero』のワン・ボーチャオ、オフ・オフ・ブロードウェイ出身の女優デブ・スナイダー、監督の息子ハーン・リーほか。91年台湾金馬奨最優秀主演男優賞(ラン・シャン)、助演女優賞(ワン・ライ)、審査員特別賞受賞。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1996年1月20日 |
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キャスト |
監督:アン・リー
出演:ラン・シャン ワン・ライ ワン・ボー・チャオ デブ・スナイダー ハーン・リー |
配給 | ヘラルド・エース |
制作国 | 台湾(1991) |
上映時間 | 108分 |
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