羅生門(1950) 感想・レビュー 7件
らしょうもん
総合評価5点、「羅生門(1950)」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。
P.N.「心の裏表(門)、人間心理」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-08-19
正に、インターナショナルな作品。
三船敏郎さんは、モノクロの効果もあり、日本人以上に、インターナショナルな存在として、輝きを放っています。
国際的スターの髭面の先駆者のよう。
作品自体もシンプルだが奥深いのは、人間の心理を巧みに描いているからだろ?
先駆けて、お盆の時期なので、楠公さんへ参拝して鑑賞。
なんとも不思議で、お宮参りの赤子が元気良く泣いて汗びっしょりで可愛いなぁなんて思った、その日です。
楠公さんもその覚悟の生き方が、私たちの誇り、京マチ子さんも覚悟で役を勝ち取ったと聞きます。
不思議な事に、「ボレロ」の映画を鑑賞した直後のタイミングで、この作品を鑑賞するチャンスに巡り合うと言う奇跡。
人生は、心のあり方、置きどころを、深く、考えさせる作品です。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-12-12
黒澤明監督の「羅生門」は、1951年度ヴェネチア映画祭金獅子賞、アカデミー賞特別賞を受賞した作品で、世界中に黒澤明監督の名を知らしめた映画詩に残る傑作だ。
この作品の素晴らしさは、人間の本質がどこにあるのかという、人間存在そのものに対する根本的な疑問を、観る者に強く訴える力を持っている点だと思う。
また、単に疑問をなげかけるだけではなくて、例えば、捨てられた赤ん坊を育てていくというヒューマニズムも織り混ぜられ、それがこの作品の救いになっていると思う。
奔放なカメラワークで、映像の魔術師と絶賛された、宮川一夫のモノクロの撮影も素晴らしく、とりわけ世界的に有名な森の中を走る場面は出色の出来だと思う。
P.N.「グスタフ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-10-11
国内と西洋の評価に乖離があった黒澤作品。終戦後5年で映画先進国米仏伊に衝撃を持って高く評価された記念碑的日本映画の名作。
旅の侍金沢武弘と妻真砂、そして盗賊多襄丸が絡む殺人事件を法廷劇にして、三人三様の嘘を証言映像とした面白さ。熱い日差し、汗ばむ肌、妖艶な真砂の美しさを描く黒澤演出と宮川一夫キャメラの素晴らしさ。そして、三人の嘘を証言できない木こりの盗みを暴く下人の開き直り。旅法師の人間不信から捨て子を引き取る木こりの良心で終わる、練りつくされた黒澤・橋本忍の脚本の完成度。悪人に成り切れぬ盗賊多襄丸を三船敏郎が見事に演じ、京マチ子、森雅之も完璧。
聖書に誓いを立てて始まる法廷劇に慣れた西洋人には、嘘だけで終わる法廷劇の異色さとエキゾチックなコスチュームプレイに関心を持ったと思われる。人間の業を観察し仮面をはぎ、尚、人には救いがあってほしいと願う黒澤監督のヒューマニズムは広く評価されました。