コタンの口笛 作品情報

こたんのくちぶえ

北海道。千歳の町外れの千歳川のほとりに、コタンの家が点在している。畑中イヨンの子供、マサとユタカの姉弟は、中学の三年生と一年生で、父は駐留軍労務者だ。日本人の母は亡くなっていた。隣家のイカンテ婆さんには、孫娘のフエがいた。彼女は工場に勤めるかたわら、バレーを習っていた。--マサに図画の谷口先生が東京の展覧会に出す絵のモデルになってくれと言った。--女生徒のハツの財布がなくなり、彼女は頭からマサを疑った。アイヌだからだ。マサは怒った。弟のユタカも学校で蔑まれていた。--フエは、大学生の清に写真を撮ってもらった。彼は小学校の佼長・田沢先生の息子だった。マサは、支笏湖を背景に絵のモデルになった。--ユタカが試験で最高点を取った時、ゴンという級友らがカンニングとはやし、血が違うと言った。ユタカは、どう違うかと、互いの指を切って血を比べようといった。--イカンテ婆さんは、田沢先生のところへ縁談を持ちこんだが、断わられた。この人こそアイヌを和人と同列に扱うと思っていたのに。マサの肖像画が入選し、谷口先生は東京で絵の勉強をすることになった。その送別会の日、フエがいなくなった。婆さんは急病で倒れ、暴風雨の夜、死んだ。佗しい葬式が行われた。ユタカは学校でまたゴンに蔑まれ、決闘することにした。ゴンをやっつけて、俺も死のうと思ったのだ。ゴンは助勢をつれ、彼を罠にかけた。マサはあちこちをたずね歩き、やっと弟を見つけた。傷を受けて昏倒していたが、表ザタにはできなかった。やっぱりアイヌだ、野蛮だとユタカが悪者にされるだろう--イヨンは失業していたが、ユタカの傷が治った頃、木こりの仕事が見つかった。ユタカも熊彫りのアルバイトをして、高校へ行こうと思った。しかし、父は倒れてきた木の下敷きになって死んだ。叔父の金二が姉弟を町へ連れて行き、知人の家に預けると言った。このまま二人で働いていたかったが、家は叔父の名義になっており、売り払われるらしかった。姉弟が連れられて行く朝、谷口先生から手紙がきた。二人は先生に負けぬようにがんばろうとしっかりと手を握り合った。

「コタンの口笛」の解説

アイヌ民族の子供の苦悩を描いた、石森延男の同名長篇小説から、「隠し砦の三悪人」の共同脚本執筆者の一人、橋本忍が脚本を書き、「鰯雲」の成瀬巳喜男が監督した。撮影は「社長太平記」の玉井正夫。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督成瀬巳喜男
原作石森延男
出演森雅之 幸田良子 久保賢 三好栄子 水野久美 左卜全 土屋嘉男 田島義文 山茶花究 大塚国夫 志村喬 久保明 宝田明 松葉良子 高橋澄雄 吉野好子 武部秋子 関祥子 山崎雅美 児玉寛
配給 東宝
制作国 日本(1959)
上映時間 126分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-09-17

今朝のNHKラジオ深夜便アーカイブは2018年放送の明日への言葉,アイヌ文化研究の本田優子,言葉一つ取っても思考回路が違う工夫された面白さが在るアイヌ言語。ニュージーランドのマオリ語見たいに北海道の公用語に為ると佳い哉。話を聴いて居て本篇ポスターや映像が眼に浮かんで

最終更新日:2024-09-27 16:00:01

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