女中ッ子 作品情報
じょちゅうっこ
東北の雪深い寒村から上京した織本初は、かつての修学旅行の時の僅かの縁を頼りに、加治木家の女中になった。加治木家の主人恭平は日東時計の総務部長で、家族は梅子夫人の外、長男雪夫、次男勝美、梅子の姪の野村ひろ子などがいた。最初はすべて田舎流で家族達から笑われた初も、一生懸命に働いて次第に馴染んで来た。中でも家中から嫌われていたひねくれっ子の勝美はすっかり初が気に入った。初は勝美がこっそり母親に内緒で仔犬を飼う手助けをしてやった。夫人の合オーバーが紛失したが、これは勝美が仔犬の寝具に使ったのであった。やがて仔犬の一件は犬嫌いの母に知れたが、初の口添えでそれも許され、汚れた合オーバーをひそかに自分の箪笥の奥深く隠して始末したのも初であった。勝美が学校でいざこざを起こしても初が出掛けて解決するので、勝美は「女中ッ子」などと冷かされるようになった。旧正月の休暇で初が帰郷したので勝美は淋しかった。而も仔犬のチビが梅子の草履を噛んでクチャクチャにしたので捨てられてしまい、ゴム長をはいた勝美は東北本線に乗って初のところへ一人で行ったりした。丁度帰京する初はそれを知り勝美を連れ帰った。数日後、捨てられたチビも戻って来た。梅子はチビのためにボロキレを探そうと初に与えてある箪笥の引出しを引っくり返すと紛失した合オーバーがあった。初は勝美の仕業であることを打明けずそのため暇を出されてしまうことになった。最後の別れに初は勝美を学校に訪れたか、何も知らない勝美は「女中ッ子って言われるから学校へ来るなよ」と素気なく教室に消えてしまった。初は淋しく故郷へむかう列車に身を置いた。
「女中ッ子」の解説
由起しげ子の原作を「長崎の歌は忘れじ」以来の田坂具隆が久々で監督する映画で、脚本は田坂監督が「火の驀走」の須崎勝彌と共同で執筆した。撮影は「女人の館」の伊佐山三郎の担当である。主なる出演者は「おふくろ(1955)」の左幸子、宍戸錠、「青春怪談(1955 市川崑)」の轟夕起子、「うちのおばあちゃん」の佐野周二、「雪割草」の伊庭輝夫など。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:田坂具隆
原作:由起しげ子 出演:左幸子 伊庭輝夫 田辺靖雄 轟夕起子 佐野周二 高田敏江 宍戸錠 宮崎準 細川ちか子 九谷常行 土方弘 千代京二 八代康二 渋沢準 伊丹慶治 東山千栄子 河合賞典 小林一郎 茅島静枝 滝川まゆみ 坂井一郎 高品格 |
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配給 | 日活 |
制作国 | 日本(1955) |
上映時間 | 142分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。
P.N.「梅林」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-09-01
小学校4年生のころ、当時はテレビが普及してなく、映画館もありましたが、入場料が高くなかなか行けませんでした。そこで当時は新聞販売店を通じて、公民館で無料で上映して頂きました。
そこで上映されたのが、女中ツ子という題名の映画でした。
私はまだ4年生でしたので、主人公の初役の左幸子さんのようなな先生がいたらと思ってました。
また、東京のような都会に憧れました。
もう一人の主人公の勝美(伊庭輝夫)はブルジョア家庭に生まれて、恵まれていることが、とても羨ましいと思いました。
それから、50年程前にテレビで放映されましたが、小学生の時と比べて、感じ方が変わりました。それは家庭が恵まれ過ぎて、親子の関係が冷たく、欲しい物をすべて与えることに抵抗感を感じました。
数年前、再びビデオで見ました。こんな子育てでは、ろくな子に育たないと感じました。何か凄く腹が立って来ました。
ところで、現在は女中ツ子とは言わず、お手伝いさんと言います。
最後に左幸子さんの演技は今の若い人に見習って欲しいものです。