座頭市血煙り街道 作品情報

ざとういちちけむりかいどう

市が最初に多十郎と会ったのは、五人のやくざに襲われた時だ。一瞬の居合斬りでやくざを倒した市を、多十郎が見ていたのだ。ある旅篭で、市は病死したおみねから、良太を預かった。おみねは夫庄吉を尋ねての旅の途中、病で倒れてしまったのだった。市は良太と共に前原にいるという庄吉を尋ねて、再び旅をつづけた。途中、旅芸人一座のともえと知り合った市は、一座が万造一家に無理難題をふっかけられた時、再び多十郎と会った。多十郎は万造一家に峰打ちをくらわせ、ともえの難儀を救ったのだった。やがて前原に着いた市は、庄吉が働いていたという窯焼きの太兵衛を訪ねたが、庄吉の行方は知れなかった。太兵衛の娘おみつは、そんな市をいたわり、良太の面倒を見てくれた。ある日、代官手附の鳥越の肩をもんだ市は、鳥越の口から庄吉の名を聞いた。鳥越は土地のやくざ権造と組んで、御禁制の金粉、銀粉を使った絵皿を、腕のいい下絵描きの庄吉を軟禁して描かせていたのだった。鳥越の帰りを待伏せた市は、庄吉の居所を聞き出そうとしたが、その時現われた多十郎が鳥越を斬った。多十郎は、鳥越たちの悪事を探るため、前原に来た公儀の隠密だったのだ。一方、万事が公儀に露見したと悟った権造は、良太とおみつを人質にして高飛びの仕度にかかった。市は、権造一家に乗り込み、得意の居合いで、彼ら一味を倒した。しかし、市が庄吉や良太、おみつを救い出した時、多十郎が現われ、役目として、悪事を手伝った庄吉を斬ると言った。市は良太のために庄吉を斬らせたくはなく、多十郎と剣を交えた。その時、多十郎の同僚が庄吉を斬ろうとし、それを市は刀を横手に投げて倒した。素手になった市を多十郎は斬れなかった。多十郎はただ一言、負けたと言い残すと、折りから降り出した雪の中を足早やに去っていった。

「座頭市血煙り街道」の解説

子母沢寛の原作を、「兵隊やくざ殴り込み」の笠原良三が脚色、「なみだ川」の三隅研次が監督した“座頭市”シリーズ第十七作目。撮影はコンビの牧浦地志。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督三隅研次
原作子母沢寛
出演勝新太郎 近衛十四郎 高田美和 朝丘雪路 中尾ミエ 坪内ミキ子 磯村みどり 伊藤孝雄 小池朝雄 松村達雄 小沢栄太郎 千波丈太郎 草薙幸二郎 田武謙三 なべおさみ 戸田皓久 藤山浩二 水原浩一 杉山昌三九 毛利郁子 斎藤信也
配給 大映
制作国 日本(1967)
上映時間 86分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-12-12

旅の途中で偶然出会った子供の父親を、市が探してやっていると、ご禁制の浮世絵皿を描かされている、絵皿職人が浮かび上がる。

それまでに何度か顔を合わせていた、謎の浪人風の侍が、実は公儀隠密だった。
事件の関係者は全て斬ると、子供の父親に斬りかかり、遂に市との一騎打ちに---------。

戦前の剣戟スターから東映の「柳生武芸帖」シリーズを経て、TVシリーズの「素浪人 月影兵庫」でお茶の間の人気俳優になっていた近衛十四郎(松方弘樹のお父さん)が、公儀隠密の侍役で出演していて、日本の映画界で若山富三郎と並ぶ、殺陣の名人が、この映画でも迫力のある殺陣を披露していて、通常よりも長く見える刀を豪快に振り回し、市の仕込み杖と激突する。

ほとんどアドリブだったという、勝新太郎と近衛十四郎の二人の殺陣は、凄まじい迫力で、本物の時代劇の殺陣の素晴らしさを堪能できましたね。

加えて、最後の決闘の場面を盛り上げる雪、雪、雪の素晴らしさ。
最近のちゃちなCGでは表現できない、見事な質感は、まさに大映映画の美術の真骨頂だ。

最終更新日:2023-12-22 16:00:01

広告を非表示にするには