なつかしき笛や太鼓 作品情報
なつかしきふえやたいこ
春の瀬戸内海を家田徹と妻道子は感慨深げに四国丸亀市に向っていた。小手島での十三年間の教員生活にいま別れを告げたところだった。--昭和二十九年の春。徹は婚約中の同僚道子の反対を押し切って離島教員として小手島に赴任した。徹はかつて、戦友林の逆境を助けることができずに彼を死に追いやったが、その遺児健一が母を失い孤児となってこの島にいると知った時、健一を育てようと決心していたのだった。周囲四キロの島の学校は複式学級で酒とバクチに明け暮れする大人たちの中で生徒たちの心はすさみきっていた。彼らは努力することを忘れ生徒たちは近島の合同運動会でもいつもビリで、誇りを持つことを知らなかった。そんな生徒たちに、徹はバレーボールを通して努力して目的を達することの尊さを教えようと、コートを作った。第一の障害は、ボールに興味を示さない生徒たちで、次に島民が男女混成の運動は好ましくないと、徹の気を挫いた。だが、徹の根気よい指導と説得で、生徒たちはバレーボールの楽しさと、努力する精神を学んでいった。そんなある日、徹の努力で、塩飽全島の中学生の丸亀市におけるバレーボール大会に、小手島チームが参加することが決定した。生徒たちに自信を持たせるチャンスと喜んだ徹は生徒を励まして練習を重ねたが、生徒たちもそれに応えて、ある時は朝モヤをついて、またある時は日没まで練習するのだった。そして試合の日、他校に比べて貧しい服装の小手島チームはしかし、素晴らしいファイトで勝ち進み、ついに優勝したのだった。それ以来、小手島の生徒たちの顔には、子供らしい明るさが見られるようになり、父兄たちの生活も改まってきた。--それから十三年後のいま、徹と道子の息子となった健一の高校進学のために、徹と道子は島民の盛大な見送りを受けて丸亀市に向っていた。
「なつかしき笛や太鼓」の解説
「愛の手紙は幾歳月」の木下恵介がシナリオを執筆し、「香華」いらい久々に監督も担当した木下プロ第一回作品。撮影も「香華」の楠田浩之。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:木下恵介
出演:夏木陽介 大空真弓 高橋洋一郎 浦辺粂子 藤原釜足 小坂一也 谷口完 加藤文穂 山口真代 大田康人 前川忠夫 初音礼子 仁礼功太郎 山村弘三 中田光彦 千村克子 牧野児郎 山本稔 三沢弥太郎 ヤシロセブン 北原将光 志摩靖彦 ほか小手島の子供 |
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配給 | 東宝 |
制作国 | 日本(1967) |
上映時間 | 114分 |
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