けんかえれじい 作品情報
けんかえれじい
岡山中学の名物男南部麒六は“喧嘩キロク”として有名だ。キロクに喧嘩のコツを教えるのが、先輩のスッポン。そのスッポンのすすめでキロクは、OSMS団に入団した。OSMS団とは岡山中学五年生タクアンを団長とするガリガリの硬派集団だ。そのOSMS団と関中のカッパ団とが対決した。キロクの暴れぶりは凄まじく、この喧嘩で忽ち副団長となった。だが、キロクにも悩みはあった。下宿先の娘道子が大好きで、硬派の手前道子とは口もきけないからだ。反対に道子は一向に平気でキロクと口を聞き、野蛮人のケンカ・キロクには情操教育が必要とばかり、彼女の部屋にキロクを引き入れてピアノを練習させる始末だ。そのうえ、夜の散歩には必ずキロクを誘いだした。ケンカに強いが女にゃ弱い。キロクはガタガタふるえるばかり。この二人の道行きをタクアンが見つけたからおさまらない。硬派にあるまじき振舞いとばかり、キロクを殴りつけようとした。それと知ったスッポン先輩がかけつけて、その場は何とか切り抜けたが、キロクの道子病は重くなるばかり。その煩悩をたち切ろうと、学校では殊更暴れ廻り、配属将校と喧嘩したため、若松の喜多方中学校に追い出されてしまった。しかし、転校一日目にして、喧嘩キロクの名前は全校にひろまってしまった。会津中学の昭和白虎隊と名乗る三人組をやっつけたからだ。この喧嘩は大喧嘩に発展した。昭和白虎隊がキロクに宣戦布告をしたからだ。キロクには喜多方中学の硬派が続々と集り、決戦の場会津鶴ケ城で雌雄を決することになった。この大喧嘩は町中の評判となり、キロクは停学処分をうけた。下宿でポツンと一人で居るキロクのところに、珍客が現われた。はるばる岡山から道子が尋ねて来たのだ。感動の面持ちで、じっと道子をみつめるキロクに道子が思いがけないことを告げた。道子は長崎の修道院に入るというのだ。キロクは絶望のどん底にたたきこまれる思いだった。このつらさを忘れるためにも、もっともっと暴れまわらなけりゃならない、喧嘩しなければならないとキロクは思うのだった。
「けんかえれじい」の解説
「座頭市海を渡る」の新藤兼人がシナリオを執筆し、「東京流れ者」の鈴木清順が監督したアクションもの。撮影は「骨まで愛して」の萩原憲治。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:鈴木清順
原作:鈴木隆 出演:高橋英樹 浅野順子 川津祐介 片岡光雄 恩田清二郎 宮城千賀子 田畑善彦 夏山愛子 佐野浅夫 晴海勇三 長弘 福原秀雄 横田陽子 玉川伊佐男 日野道夫 浜村純 加藤武 野呂圭介 加川景二 |
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配給 | 日活 |
制作国 | 日本(1966) |
上映時間 | 86分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-08-03
第二次世界大戦後、日本の男は、平和を目指すという観点から、軍人的な色彩を否定し、暴力を否定してきたと思う。
ある種のアナクロニズムの中に、戦後の日本が失ってしまったものを、この映画「けんかえれじい」は描いていて、「ああ、これが日本人だ」と慄然とするものがある。
旧制中学の学生が、一晩中けんかをするのだ。
そのエネルギー、オーソドックスな日本の男の根源的なエネルギー。
それと、骨太な男の心意気。そういうものが徹底的に描かれていて、とにかく凄い映画だ。