廓育ち 作品情報
くるわそだち
たみ子は六つの年、京都島原の芸妓だった実母に捨てられお茶屋“末広”の女将お仙の養女となった。十三の時から身体一つで女将の地位を築いたお仙は、たみ子が自分と同じ道を歩むのを当然としていた。たみ子は幼い頃から七十近い万春のおとうさんによって、男を喜ばす女として育てられた。たみ子の伯母のお春は格式を誇る“美よし”の女将であった。美よしの養女雪枝が、美しい廓女に変貌してゆくのを見たお仙は、激しい対抗意識を燃やした。遠縁の娘宮子をひきとったお仙は、足の悪い宮子を家事につかせると、たみ子に厳しく芸事を仕込んだ。だがたみ子は、お仙の反対を押しきって高校に進学し、色街の空気になじもうとしなかった。だがお仙の執念には抗しきれず、たみ子は国会議員大木に水揚げされ、芸妓となった。高校生芸妓という評判から、退学となったたみ子は、医学生新田茂己と、固く誓った将来に、廓から出るきっかけを求めていた。十九になったたみ子は、脳溢血で倒れたお仙と、障害者の宮子を抱えて、前よりも色街にしばりつけられた。すさまじいまでの女の憎しみの間で、宮子は牛のように働きつづけた。売春禁止法のあおりをくって、末広の家運も傾いていった。だがたみ子には、茂己との結婚を実現させるために、廓女とあなどられたくないという意地があった。しかしその茂己は大学教授の娘との縁談が起ると、母の反対を口実に、冷い態度を取った。その上、廓のボス塚田の圧力で遂に二人の恋は破れた。間もなくお仙は死に、宮子は嫁いだ。足枷から離れて自由になった、たみ子は、今は何の望みもなく、すすめられるままに塚田の二号になった。幸せも希望もない毎日、酔いつぶれた塚田の口から出た、無神経な言葉に、たみ子は廓をとりしきるボスへの憎悪がつのった。「子供の時から苦しんで来たのはこんな人がいるからや!」毒殺した塚田をあとに、殺人犯として連行されるたみ子の顔は、人生の再出発を祝うかのように晴々としていた。
「廓育ち」の解説
川野彰子の同名小説を「肉体の門(1964)」の棚田吾郎が脚色「続・王将(1962)」の佐藤純彌が監督した文芸もの。撮影は「鮫」の飯村雅彦。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:佐藤純彌
原作:川野彰子 出演:三田佳子 小野恵子 畠山淑子 佐々木愛 三益愛子 梅宮辰夫 中村賀津雄 進藤英太郎 荒木道子 塚原佳穂理 岡田由紀子 緑魔子 高城裕二 原田甲子郎 宮口精二 牧よし子 相生千恵子 谷本小夜子 東百合子 三津田健 山本緑 |
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配給 | 東映 |
制作国 | 日本(1964) |
上映時間 | 105分 |
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