青春を返せ 作品情報
せいしゅんをかえせ
ささやかな木工業を営む益夫とBG一年生の敦子の兄妹は、互いに母を励ましながら将来に夢を馳せていた。隣家の美子は益夫の恋人、平和な毎日だった。そんなある日、未亡人殺人事件がもちあがり益夫が殺人容疑で連行された。事件当夜顧客の被害者宅に出入りしたこと、指紋、目撃者の証言、服地にしみついた血液模様、そして事件直後益夫とすれ違ったという職人高木の証言、万事が益夫に不利だった。無実を叫ぶ益夫を刑事は執拗に責めたて、デッチ上げの調書が作られ、益夫は死刑の判決を受けた。四年の歳月が流れた。上告も証拠不十分で棄却され、母は絶望のあまり自殺を計った。敦子はバーの女給になって昼間は証拠集めに奔走、その結果目撃者の証言はいずれも曖昧で根拠のないことが判り、高木がホシであることはほぼ間違いなかった。しかしそれ位ではどうにもならず、美子は益夫を待ち切れず嫁いで行った。七年の月日が経過し、次々に反証を得た敦子は最後の難問“服地についた血液”にぶつかった。だが、ルミノール反応は赤いバラにも反応することが判り、敦子の反証のノートがやっと日の目を見るときがやってきた。権威者の一の瀬弁護士が敦子の熱心な依頼を受け入れ、遂に最高裁に持ちこむことが出来た。敦子は兄に自供を強いた豊島刑事を訪ねたが、今では織物工場の守衛を勤め親子水入らずの生活を楽しむ豊島は冷たくつっぱねた。その帰途、敦子は砂利トラの前を横切った豊島の子を救って車にはねられた。折も折、最高裁が差し戻しの判決を下した。差し戻し裁判は豊島が拷問の事実を認めて益夫の無罪は確立、真犯人高木は熊本で逮捕された。翌日、釈放の日を待ちうけている益夫の許へ妹の死亡通知が舞い込んだ。益夫の慟哭が冷たい鉄格子をゆさぶった。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:井田探
原作:赤城慧 出演:芦川いづみ 長門裕之 高野由美 大森義夫 芦田伸介 清水将夫 田代みどり 大滝秀治 河上信夫 潮京以子 藤竜也 荒井岩衛 水木京二 加原武門 雪丘恵介 久松洪介 若原初子 玉村駿太郎 高山千草 井田武 武内悦子 紅沢葉子 高田栄子 |
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配給 | 日活 |
制作国 | 日本(1963) |
上映時間 | 89分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「ガガ」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2018-12-02
1963年東京オリンピックの一年前の作品。2018年12月2日ラピュタ阿佐ヶ谷劇場で観る。普段はガラガラの同劇場が満員札止め。芦川いづみ人気を再認識する。
内容はネタバレするので書きませんが現在の冤罪再審の時代の到来を予感させる様な当時の日活映画の中では特異的な社会派映画。最後のラストシーンには涙が止まらなかった。主演芦川いづみもさる事ながら、長門裕之、芦田伸介、清水将の好演も見逃せない。芦川いづみファン以外には殆ど話題にならないB級映画扱いだが個人的には娯楽映画専門と思っていた井田探監督の代表作であると同時にこの頃の日活映画の中でも最上位の作品だと思う。