五番町夕霧楼(1980) 作品情報

ごばんちょうゆうぎりろう

与謝半島の突端にある樽泊で木樵をしている片桐三左衛門の長女、夕子は肺病の母と三人の妹をかかえ、家族のために京都西陣の五番町夕霧楼で働くことになった。一年の歳月が流れ、西陣帯の織元・甚造との水揚げも済み、夕子は五番町で一、二を争う売れっ妓になっていた。ある日、夕霧楼に夕子の幼友達で、京都で修業を積む青年僧正順がやってきた。その日以来二人の逢瀬は続く。貧乏修業僧の正順にかわって、夕子が費用を払っていた。正順は夕子を訪ねると、歌を唄い、話をして、彼女に指一本触れずに帰っていく。しかし、その逢瀬にも終りがやってきた。夕子を妾にしようとしていた甚造が、正順が修業している鳳閣寺の慈州に廓通い告げたのだ。夕子はその頃から体の不調を訴え、肺病を患い入院してしまう。一方、さい銭をもって豪遊する寺の長老たちの姿を見て、立派な僧になることを念じ続けてきた正順は失望していた。そして、慈州とぶつかり、寺を飛び出した。夕霧楼で、夕子の入院を聞いて正順は病院へ急いだ。寺以外に生きる場所のない正順の思いつめた姿に、夕子はただならぬものを感じた。正順は「復讐してやる!」と言うと夕子を抱いた。怒りと悲しみをぶつけるかのように夕子を抱く。正順に応えるかのように夕子もがむしゃらにしがみつく。激しく切なく燃える最初で最後の愛。鳳閣寺が炎上したのはその晩であった。怒りに震える手で寺に火をつけた正順は、仏像に体をくくりつけ夕子の名を叫びながら焼死していった。新聞で事件を知った夕子は、与謝へ帰り、正順を追って自ら生命を絶つのだった……。

「五番町夕霧楼(1980)」の解説

家族のために廓に身を売った女と、幼友達の青年僧との愛を描く。水上勉の同名の小説と「金閣炎上」を合せて映画化したもので、脚本は「天使の欲望」の中島丈博、監督は「黄金の犬」の山根成之、撮影は「神様のくれた赤ん坊」の坂本典隆がそれぞれ担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1980年4月29日
キャスト 監督山根成之
原作水上勉
出演松坂慶子 奥田瑛二 浜木綿子 中島葵 風吹ジュン 根岸季衣 清水石あけみ 佐々木梨里 水島美奈子 中原早苗 長門裕之 奈良岡朋子 加藤嘉 織本順吉 佐野浅夫 山谷初男 林ゆたか 佐久田修 横内正 佐分利信 宇佐美恵子
配給 松竹
制作国 日本(1980)
上映時間 129分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:53

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