同胞 はらから 作品情報
はらからどうほう
岩手県岩手郡松尾村は岩手山の北麓、八幡平の裾野に広がり、四つの集落からなっている、人口七二〇〇、戸数一七〇〇の村である。斉藤高志はこの村の青年団長で、酪農を営んでいる。兄の博志が盛岡の工場に通っているので高志が農事のすべてを切りまわしている。村の次、三男のほとんどが都会へ出て行き、残った青年たちも東京・大阪方面へ出稼ぎに行って閑散している三月半ば、松尾村を一人の女性・河野秀子が訪れた。彼女は東京の統一劇場のオルグとして、この村でミュージカル「ふるさと」公演を青年団主催でやって欲しいと、すすめにきたのだ。秀子の話を聞いた高志は、公演の費用が六五万円かかるため、青年団の幹部が揃う春になってから理事会をひらいて検討することを秀子に約束した。五月、桜が咲く遅い春。青年団の理事会がひらかれたが、公演費用に責任を持ちかねるという強硬な反対意見が出された。何度も理事会が行なわれ、意見の交換がくり返された。しかし、高志の「赤字になったら俺が牛を売って弁償する」との一言で、公演主催が決った。夏が来た。目標六五〇枚の切符が、青年団全員の必死の活動で目標をオーバーするまで売り切った。公演三日前、会場に予定されていた中学校の体育館が、有料の催物には貸せない、と校長に断わられてしまった。急を聞いて秀子が盛岡から飛んで来たが、校長の答は変らない。秀子は遂に最後の条件を切り出した。「無料ならいいんですね」「勿論です」無謀とも思える秀子の提案。しかし、秀子は、自分達は金儲けのために芝居をしているわけではない、無料で公演するのは苦しいけれど、芝居を楽しみにしている人たちのために中止することはできない、と言って校長室を出た。今回に限り特別に許可する、という校長の許可を聞いたのは、秀子が校門を出てすぐだった。公演は大成功だった。千人を超える人々が集ってくれた。劇団員の歌うお別れの歌を青年達は泣きながら聞いた。八幡平に秋が来た。山肌は紅葉に色どられ、遥か彼方、岩手山の頂上には、もう初雪が白く光っている。
「同胞 はらから」の解説
岩手県のとある農村を舞台に、東京の劇団のミュージカルを公演しようとする青年団の活動を描く。脚本は「男はつらいよ 寅次郎相合い傘」の朝間義隆、監督は脚本も執筆している同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1975年10月25日 |
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キャスト |
監督:山田洋次
原作:山田洋次 出演:倍賞千恵子 寺尾聰 下絛アトム 土谷亨 河合進 岡本茉利 赤塚真人 市毛良枝 笠井一彦 井川比佐志 杉山とく子 木村晃子 下絛正巳 大滝秀治 三崎千恵子 渥美清 統一劇場 |
配給 | 松竹 |
制作国 | 日本(1975) |
上映時間 | 127分 |
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2022-03-26
先日松本清張原作のmysteryドラマ〈留守宅の事件〉で飄々とした感じの刑事役の寺尾聰を見ていて,本篇では村の青年団で活躍していた若き姿が在ったんだなあと想い浮かべた