宵待草 感想・レビュー 1件

よいまちぐさ

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P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-12

この神代辰巳監督の映画「宵待草」で描かれる時代は大正時代。
アナーキズムにかぶれる青年とテロリストが令嬢を誘拐、そしてこの三人の不思議な逃避行が始まる。

「宵待草」に始まり、古びた流行歌をひたすら呟き声で歌い続け、道中でどんでん返しをし、体を求め合い、ススキ野を旅する彼らの佇まいは、どのカットも、胸がざわつく瑞々しさに溢れている。

高橋洋子、高岡健二、夏八木勲という、本能で神代辰巳監督の演出に応える肉体派の役者たちと、晩秋の刻々と変化する風景を、凄まじい美で切りとる姫田真佐久のカメラ。

気球で空を逃亡する、広々とした爽快感の後、地上に降り立ち、そのまま内ゲバが展開する、躍動的な長いワンカットは、まさに奇跡的な映像だ。

革命に走る若者のやるせない道行きを描く、さすらう映画の最高峰とも言える映画だと思う。

最終更新日:2024-08-31 02:00:05

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