男はつらいよ 私の寅さん 作品情報
おとこはつらいよわたしのとらさん
テキヤ稼業のフーテンの寅の故郷、東京は葛飾・柴又。寅の妹・さくらと夫の博は、おいちゃん夫婦への感謝をこめて九州旅行へ招待することになった。準備万端整えて、明日は全員揃って観光旅行へ出発する、というその日、寅がフラリと帰ってきた。驚いた皆は、寅に旅行のことを隠そうとしたが、つまらぬことからパレて、寅は大いにムクれてしまった。ふくれっ面の寅に、さくらは真情を込めて、おいちゃん夫婦への感謝の旅行だと説明すると、やっと寅は了解し、今度は留守番を買ってでた。皆が旅行に出てから一人留守番をする寅は、誰もいない“とらや”で体をモテあまし、何をしてもサマにならず、全員が帰京するや涙を流して喜ぶ。数日後、寅はふとしたことから、小学校時代の級友で、今は放送作家をしている柳文彦に会った。何十年ぶりかの再会で話は大いにはずみ、調子ののった寅は、文彦に連れていかれた妹・りつ子の家で、彼女のキャンパスにいたずら描きをしてしまった。寅にしてみれば軽い気持でやったのだが、画家を職業としているりつ子にとっては言語道断、二人は会うなり大喧嘩をしてしまう。翌朝、おいちゃんたちを相手に、りつ子の悪口を言っているところに、当人が喧嘩の詫びを言いに現われた。りつ子が茶の間に上って世間話をしているうちに彼女の朗らかで、さっぱりした人柄は一同を魅了してしまう。とくに、寅はその日以来、貧乏画家のパトロンを気取り、次第に彼女に惹かれていった。ある日、りつ子が病気で寝こんだと聞いた寅は早速見舞いに出かけた。りつ子は寅に、失恋の痛手から寝こんでしまった、と笑いかけた。寅はそんなりつ子を懸命の努力でなぐさめ、とらやに帰るやいなや、恋の病いが伝染したかのように、そのまま床についてしまった。数日後、とらやを訪ねたりつ子は、寅が自分に想いを寄せていることを感じて複雑な気持ちになってしまう。しかし、寅は寅なりに、自分の恋心が、とらや一家のみならず、次第にりつ子や文彦に知れわたってしまったことを恥じ、旅に出る決意を固めてりつ子の許を訪ねた。そんな寅に、りつ子は、自分の絵を生涯の伴侶として生きて行くつもりで、寅とは友達として一生つきあっていきたい、と熱をこめて語った。「あの人は美しい絵だけを描いていればいいのに、俺は邪魔してしまったらしいや」。さくらに、こう言い残すと、寅は木枯しの中を旅立っていった。正月。絵の修行のためにスペインに渡ったりつ子から、とらやに年賀状が届いた。それは寅への暖かい思いやりに満ちた文面で綴られていた。
「男はつらいよ 私の寅さん」の解説
“男はつらいよ”シリーズ十二本目。フーテンの寅こと車寅次郎が、故郷柴又にて巻き起こす笑いと騒動を描く人情喜劇。脚本は「男はつらいよ 寅次郎忘れな草」の朝間義隆、原作・監督は脚本も執筆している同作の山田洋次、撮影も同作の高羽哲夫がそれぞれ担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1973年12月16日 |
---|---|
キャスト |
監督:山田洋次
原作:山田洋次 出演:渥美清 岸恵子 前田武彦 倍賞千恵子 松村達雄 三崎千恵子 前田吟 中村はやと 太宰久雄 佐藤蛾次郎 笠智衆 津川雅彦 河原崎国太郎 葦原邦子 吉田義夫 長谷川敏英 羽生昭彦 村上猛 木村賢治 後藤泰子 門久小百合 |
配給 | 松竹 |
制作国 | 日本(1973) |
上映時間 | 107分 |
動画配信で映画を観よう! [PR]
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。
P.N.「pinewood」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2019-01-06
名優・渥美清演じる寅さんが岸恵子演じる女絵描きに恋すると云うプラトニックな愛情篇、寅さんらしく一大バトルから始まるインテリ女性への恋心。岸恵子のマドンナ役も恋愛に酷く傷つき傷心な状態を寅で癒されていた…。でも本編も又、寅さんが佳い処で旅立って身を引かなければ恋は実っていたんだろうねぇ~。