マルサの女 作品情報
まるさのおんな
税務所の調査官、板倉亮子は、小柄で顔がソバカスだらけの不美人だが、脱税を徹底的に調べるやり手だった。ある日、彼女は一軒のラブホテルに目をつけ、そこのオーナー権藤英樹が売り上げ金をごまかしているのではないかと調査を始める。権藤には息子の太郎と内縁の妻、杉野光子がいた。権藤は一筋縄ではいかない相手で、なかなか証拠も掴めない。そんな時、亮子は国税局査察部に抜擢された。彼らはマルサと呼ばれる摘発のプロである。マルサとしての調査経験を積んでいった亮子は、上司の花村と組んで権藤を調べることになった。ある時、権藤の元愛人、剣持和江から彼の今の愛人、鳥飼久美子が毎朝捨てるゴミの袋を調べろとタレコミの電話が入った。亮子たらは清掃車を追いかけ、やっとのことで証拠の書類を見つけた。権藤邸をガサ入れする日が決まった。当日の朝、出かけた光子を亮子は尾行。権藤邸に花村たちが入った途端、他の何人かが権藤の取り引き先の銀行、久美子のマンションをガサ入れする。光子の見張りを交代して権藤邸に向かった亮子は、権藤と喧嘩し、大金を持って飛びだした太郎を追いかけ慰めた。亮子が邸に戻ると、調査はほぼ完了で証拠は何も出て来なかった。花村は権藤に質問し、亮子に眼の動きを追えと命令する。そして、本棚を推定、本の中をしらみつぶしに探すが徒労に終わる。疲れた亮子が立ちあがって、体を伸ばし本棚にぶつかった途端、壁が動き奥の隠し部屋が現われ大金が見つかった。その頃、久美子の部屋では口紅に隠された多くの印鑑が発見された。また、銀行でも架空の名義が確認された。権藤から貸し金庫の鍵は光子が持っていると聞かされた花村は、光子のいる美容室に出かけ鍵を受け取る。半年後、亮子のまえに太郎のことで御礼が言いたかったと権藤が現われた。彼はまだ全部に口を割らず頑張っていた。自分のもとで働かないかと言う権藤に亮子は首を横に振る。突然、亮子が以前忘れたハンカチを出した権藤は、ナイフで指を傷つけ、血でハンカチに残りの貸し金庫の暗号を記して渡した。
「マルサの女」の解説
国税局査察部に勤める女性が、ラブホテル経営者を脱税で摘発するまでを描く。脚本は監督も兼ねている「タンポポ」の伊丹十三が執筆。撮影は「時計 Adieu_l'Hiver」の前田米造が担当。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 1987年2月27日 |
---|---|
キャスト |
監督:伊丹十三
出演:宮本信子 山崎努 津川雅彦 大地康雄 桜金造 麻生肇 志水季里子 松居一代 室田日出男 渡辺まち子 竹内正太郎 ジャンボ杉田 ギリヤーク尼ヶ崎 柳谷寛 杉山とく子 小沢栄太郎 佐藤B作 橋爪功 伊東四朗 大滝秀治 マッハ文朱 加藤善博 嵯峨善兵 奥野匡 絵沢萠子 小坂一也 山下大介 篠井世津子 横山道代 田中明夫 高橋長英 芦田伸介 小林桂樹 岡田茉莉子 |
配給 | 東宝 |
制作国 | 日本(1987) |
上映時間 | 127分 |
ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、4件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2023-11-17
伊丹十三監督の「マルサの女」は、ジャーナリスティックなセンスが最大限に発揮されていて、ハードボイルド・タッチのスリル、アメリカ映画を彷彿とさせる、軽快なテンポとユーモア、的を得たキャスティングと、どれをとっても極上の大人のエンタメ作品になってると思う。
"悪い奴をやっつけろ"という快感に満ち溢れた映画で、しかも、やっつける中心が女性だという点が、実にユニークだ。
しっかり者で、男にも負けない女性像が、この映画の娯楽性を際立たせている。
そういう全ての点で面白い、娯楽映画として痛快作だという点を認めた上で、敢えて難を言えば、正義が権力の側にある点が、私としては、少し残念な気がする。