遠雷(1981) 作品情報

えんらい

満夫は僅かな土地にしがみついてトマトを栽培している。先祖代々の土地は、父が売ってしまい、豪華な家を建てたが、今は家を出てバーの女、チイと同棲している。兄も百姓を嫌って、東京でサラリーマンをしている。家に残っているのは満夫と母と祖母の三人だけだ。日々のいらだちをトマト栽培にまぎらわす満夫にお見合の話がきた。あや子という相手は、まんざらでもない女だ。子供をペロリと産みそうだ。二人はその日にも、モーテルで抱き合った。父が帰って来た。世話になった人が立候補するので、選挙の手伝いをするという。母も父の浮気のことなど忘れて、調子に乗っている。その頃、子供の時からの友人・広次が工業団地に住む人妻、カエデと駆け落ちした。カエデは満夫のビニールハウスにトマトを買いに来たこともあり、関係を結んだこともある。いらだつ満夫に、追いうちをかけるような事件が続いた。トマトが大量発生したアブラムシで全滅してしまった。そして、父も選挙違反で警察にあげられてしまった。あや子の父の希望で、村一番の盛大な結婚式をあげている晩、広次が帰ってきた。カエデを殺してきたと言う。盛大な宴の歓声が母屋から聞こえてくる。ハウスの中で広次は告白しながら泣いた。そして「稲刈り、頼んだぜや」と言い残して自首した。警察を出た父はそのままチイとどこかへ行ってしまった。残された満夫とあや子が腐ったトマトを燃していると不動産屋がやってきて土地を売ってくれと言う。満夫は猛烈な勢いで不動産屋を追い返した。はるか遠くで、雷が鳴っている。

「遠雷(1981)」の解説

宇都宮を舞台に、都市化の波に流される人々の中で、土地にしがみつき、トマト栽培に賭ける青年の姿を描く。野間新人文芸賞を受賞した立松和平の同名の小説の映画化で、脚本は「ひと夏の体験 青い珊瑚礁」の荒井晴彦、監督は「狂った果実(1981)」の根岸吉太郎、撮影は「スローなブギにしてくれ」の安藤庄平がそれぞれ担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1981年10月24日
キャスト 監督根岸吉太郎
原作立松和平
出演永島敏行 ジョニー大倉 石田えり 横山リエ 原泉 七尾伶子 蟹江敬三 根岸明美 森本レオ 鹿沼えり 江藤潤 藤田弓子 ケーシー高峰
配給 ATG
制作国 日本(1981)
上映時間 135分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-02-16

トマト栽培のビニールハウスの本篇映像の鮮烈なシーン,そして立松和平原作の遠雷と云う題名,或いはサタジット・レイ監督のインド映画遠い雷鳴の岩波ホールの紅い民族衣裳サリーを纏ったヒロインの表紙の貴重なパンフレットetc今朝NHKラジオ深夜便明日への言葉で歌会始め入選作者の短歌に刻まれた作品創作中の推敲過程で轟く2回の雷の音から連想された極私摘な記憶

最終更新日:2024-02-26 16:00:01

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