恋恋風塵 作品情報

れんれんふうじん

60年代終わりの初夏、学校帰りの中学3年生の少年ワン(王晶文)と2年生の少女ホン(辛樹芬)は、幼い頃から兄弟のようにいつも一緒に育ってきた。ワンは、父(林陽)が鉱山の事故で入院していたこともあり、家の経済状態を思い、台北に出て働きながら夜間学校に行くことを決める。翌年、ホンも中学校を卒業して台北に出て来た。ワンは印刷所に勤めていたが、やがてそこをやめ、親友のホンチュン(林于竝)の働く映画館の裏の一部屋に移り住み、オートバイ配達の仕事を始めた。翌年の夏、初めて里帰りするホンのために土産を買うのを手伝っていたワンは、仕事のオートバイを盗まれてしまう。里帰りできずに海の向こうにかすむ島をながめていたワンは、海上警備隊に保護され、宿舎のテレビを見ているうちに父の落盤事故を思い出し気を失ってしまう。熱にうなされ続けるワンを、帰ってきたホンが姉のように看病する。翌夏。2人は初めて一緒に里帰りする。父親たちは鉱山の待遇改善の要求でサボタージュしている。野外映画会の夜、停電し、祖父(李天祿)がろうそくと間違え、爆竹に火をつけてしまう。やがてワンに兵役の通知が届く。ホンは心をこめて作ったワイシャツをワンに渡し、2人は台北駅で別れた。兵役に出る朝、母(梅芳)から父のライターを手渡されたワンは、祖父の爆竹に見送られ、故郷の山を下りた。兵役についたワンのもとに、毎日のようにホンから手紙が届く。夫婦と幼い息子とおじいさんを乗せた大陸の漁船が流れつくという出来事もあった。ある日、ホン宛てのワンの手紙が転居先不明で返送されるようになり、ホンからの手紙も途絶えた。弟ディンからの手紙で、ホンが郵便配達の青年(施明楊)と結婚したことを知らされ、ワンは激しく泣いた。兵役が終わってワンは故郷に戻った。そこには以前と変わらぬ風景が、ゆるやかな時の流れの中で息づいていた。

「恋恋風塵」の解説

幼い時から兄弟のように育った一組の少年と少女の淡い恋と別れを描く。監督は「童年往事 時の流れ」の侯・孝賢、脚本は呉念眞と朱天文の共同、撮影は李屏賓が担当。出演は王晶文、辛樹芬ほか。英語題名は“Dust in the Wind”。2016年5月21日デジタルリマスター版ユーロスペースにて公開。2024年7月20日より『台湾巨匠傑作選2024』にて劇場上映(配給:オリオフィルムズ)。

ホウ・シャオシェンが1987年に製作した青春ドラマをデジタル・リマスター化。山村で幼い頃から一緒に育ってきた幼なじみのアワンとアフンは、出稼ぎのため中学卒業後に台北へ。慣れない都会暮らしの中で互いを支え合い、ほのかな恋心が二人に生まれるが……。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1989年11月11日
キャスト 監督ホウ・シャオシェン
出演ワン・ジンウエン シン・シューフェン リー・ティエンルー リン・ヤン メイ・フアン チェン・シュウファン ライ・ドナン リン・ユーリン チャン・フーチン ヤン・リーイン
配給 フランス映画社
制作国 台湾(1987)
上映時間 109分

(C)2014 Taiwan Film and Audiovisual Institute. All rights reserved.

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「山の中の女」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2021-09-29

私も緑豊かな田舎に住んでいるので、現在に対して郷愁を感じてしまいます。ふと何気ない瞬間に。これ程素晴らしい青春を描いた映画を観れるなど思ってもいませんでした。何よりも二人の眼差しが眩しかったです。シンシューフェンを監督が追いかけて橋の上でスカウトしたのも頷けます。アワンを演じた人、監督の言う通りに痩せて日に焼けたそうで、雰囲気出ています。でも数年前に若くして亡くなってしまい残念です。他の演者も素晴らしく、特に人間国宝の李天録さんはいい味出てます。アフンの勤め先の女性、坊やの人形から侯監督の作品に出ている美人の常連さん。母親役の梅芳さんも。印刷屋の女将さん、ニューウェーブの監督の奥さん、素人だけど上手いです。あと、軍隊に入って何気に大陸の人の様子とかも知れて良かった。最後は悲しいが、母親は昼寝、祖父は畑仕事でさつまいもの出来をぼやく日常で救われる。脚本家の呉念真が元とは大分違ってしまったと言っていたが、とても素晴らしい純愛物だと思う。奥さんが嫉妬して泣いたのも頷ける。とにかく観賞後は心洗われる名作だった。

最終更新日:2024-12-23 02:00:03

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