天井桟敷の人々 作品情報
てんじょうさじきのひとびと
第1部「犯罪大通り」1800年代のパリ。タンプル大通り、通称犯罪大通りで裸を売りものにしている女芸人ガランス(アルレッティ)はパントマイム役者バティスト(ジャン・ルイ・パロー)と知り合いになった。パティストは彼女を恋するようになった。無頼漢ラスネール(マルセル・エラン)や俳優ルメートル(ピエール・ブラッスール)もガランスを恋していた。パティストの出ている芝居小屋「フュナンピュール」座の座長の娘ナタリー(マリア・カザレス)はバティストを恋していた。ガランスにいい寄るにしてはバティストの愛はあまりに純粋であった。ラスネールといざこざを起したガランスは「フュナンビュール」に出演するようになった。ガランスの美貌にモントレ-伯(ルイ・サルー)が熱をあげた。 第2部「白い男」5年後、バティストはナタリーと結婚、一子をもうけていた。ガランスは伯爵と結婚していた。人気俳優になったルメートルのはからいでバティストはガランスに劇場のバルコニーで会うことが出来た。一方、劇場で伯爵に侮辱されたラスネールは風呂屋に伯爵を襲って殺した。バティストはガランスと一夜を過ごした。翌朝、バティストの前に現れたナタリーと子供の姿を見たガランスは、別れる決心をした。カーニバルで雑踏する街を去るガランスを追ってバティストは彼女の名を呼び続けた。
「天井桟敷の人々」の解説
「港のマリイ」のマルセル・カルネが、「悪魔が夜来る」に引つづき3年3ケ月の歳月を要して完成した1944年度作品で前後篇3時間半に及ぶ長大作。「北ホテル」を除いて当時までのカルネ全作品に協力して来たジャック・プレヴェールがオリジナル・シナリオを担当、台詞を執筆している。撮影は「しのび泣き」のロジェ・ユベールと「みどりの学園」のマルク・フォサール、音楽は「港のマリイ」のジョゼフ・コスマと「めぐりあい」のモーリス・ティリエで、パントマイム場面の音楽はジョルジュ・ムウクの担当。音楽監督はコンセルヴァトワールのシャルル・ミュンク(現在ボストン交響楽団の常任指揮者)である。美術はアレクサンドル・トローネ、装置はリュシアン・バルザックとレイモン・ガビュッティが受け持っている。出演者は「しのび泣き」のジャン・ルイ・バロー、「悪魔が夜来る」のアルレッティ、「火の接吻」のピエール・ブラッスール、「オルフェ」のマリア・カザレスを中心に、「バラ色の人生」のルイ・サルー、「悪魔が夜来る」のマルセル・エラン、「パリの醜聞」のピエール・ルノワール、以下ガストン・モド、ジャーヌ・マルカンらが大挙出演する。1840年代、ルイ・フィリップ統治下のパリ繁華街を舞台に、とりどりの人間群が織りなす人生の色模様をバルザック的な壮麗さで描いたカルネ、プレヴェールの代表作。劇の中心をなすバチスト・ドビュローとフレデリック・ルメートルは共に実在の人物で、前者は本名シャルル、パントマイムのピエロ役の近代的創造者として知られている。
公開日・キャスト、その他基本情報
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ユーザーレビュー
総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。
P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-05-12
このマルセル・カルネ監督の「天井桟敷の人々」は、第1部「犯罪大通り」と第2部「白い男」で構成されていて、壮大な愛憎絵巻を展開して見せる作品だ。
ドイツ占領下のフランスで、3年カ月の歳月をかけ、豪華なセットや衣装、最高の俳優によって、この芸術作品を完成させた、マルセル・カルネ監督のレジスタンス魂は、今観ても、強く心を打つものがある。
マルセル・カルネ監督は、このドラマを民衆の燃え上がるような
狂気の中に、描き上げていったと思う。
恋とは何か?人間のたとえようもない命のほとばしり。
特に凄いのはラストだ。
去って行く女を追って、青年が走る。
彼を押し包むようにして、民衆が踊り狂う。
この民衆のエネルギーこそ、フランス人のエネルギーの表明であったのだろう。
それはそのまま、ナチスに対して、決して屈服することのない、フランス人魂の表明だったのだ。
そして、三大スターの素晴らしい名演技。
犯罪通りのセットも敬服に値する。