女囚一一三号 作品情報
じょしゅういちいちさんごう
フローラ・マリア・ペラルタ(ファニー・ナヴァロ)は看護婦の資格をとって仕事を探す。カルロス・デュモント(ホルヘ・リガウド)という建築技師の邸で脚の不自由なイサベル夫人(M・オルティス)の世話をして働くことになった。イサベルは莫大な遺産がある一人娘で結婚当時は幸福だったが、カルロスが自動車の運転をあやまって、脚が不自由になって以来、カルロスが自分と結婚したのは財産が目当てだったのではないかと疑うようになった。フローラが邸に看護にきてからというもの、カルロスはフローラに愛をささやく。夫人は二人の仲を見つけてしまいフローラは邸を出ようと決心するところがカルロスは離婚の相談がまとまったということからフローラを口説き、邸にとどまらせる。フローラは夫人を相変らず看護しながらエレヴェーターで二階から階下に降ろそうとした時、電気が故障していて中は暗かった。エレヴェーターが来なければドアはあかない筈なので、フローラは車椅子を中へ押し入れた。ところが、そこにはエレヴェーターはなく、車椅子は真逆さまに墜落、夫人は重傷を負い、病院にはこばれて、息をひきとる。ただちに警察の取調べが開始され、フローラは殺人の嫌疑で逮捕された。裁判の結果情状に酌量の点があることは認められて、五年の懲役に服するようになる。フローラは女囚だけの刑務所に入れられる。カルロスは一度も会いに来てくれなかった。女囚の中にアデーラという肺病の娘がいて、ある夜重態におちいり、女囚たちが医者を呼んでくれと頼んだが、看守は承知しなかった。耐えかねた女囚たちは看守をおそって鍵を奪い、所長の部屋へ押しかけた。所長はそれを暴動とみなし、全員を寝巻のまま庭へひき出してホースで水を浴びせる罰を加えた。アデーラはその罰に耐えかねて濡れねずみのまま死んでいった。医者がアデーラの死因をしらべて、所長以下の残虐な扱いが明らかになり、新任の女所長がきて刑務所内を改善する。フローラは看護婦の経験を認められて医務室の助手を勤めることになった。しかし、カルロスはどうしても会いに来ない。ある日、女囚たちが手に入れた新聞にカルロスが名門の娘と結婚するという記事がのっていた。やっと訪ねてきたカルロスの冷たい態度をみて、はじめて騙されていたことを知った。カルロスは出獄しても近づいてくれるなと云いに来たのだった。フローラは妊娠していた。生れる子供に罪があろうはずはない。女囚たちの助けでフローラは折からの豪雨をおかして脱獄する。増水した地下道を伝わってやっと街に脱出し、カルロスの邸の前に来る。丁度彼が自動車で帰ってきたところだった。フローラはカルロスにピストルを向けるが、カルロスは逆にフローラを射殺してしまうのだった。
「女囚一一三号」の解説
戦前から今日までに日本で公開されたアルゼンチン映画はタンゴを主題にしたものが多かったが戦後は設備、人材ともに充実し、昨年は四十三本の劇映画を製作、南米随一の映画国となった。監督ダニエル・ティナイレはリアリズム作家として知られ、主演のファニー・ナヴァロは国際女優として著名。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:ダニエル・ティナイレ
出演:ファニー・ナヴァロ M・オルティス ホルヘ・リガウド グリエルモ・バッタリア Francisco de Paula Aide Luz |
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配給 | NCC=エイショウ・トレイディング・カンパニー |
制作国 | アルゼンチン(1955) |
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