女と男のいる舗道 作品情報

おんなとおとこのいるほどう

パリのあるカフェ。ナナ(アンナ・カリーナ)は別れた夫と疲れきった人生を語りあっている。現在の報告をしあって別れる。夢も希望もない。ナナはそんなある日、舗道で男に誘われ、体を与えてその代償を得た。そして彼女は古い女友達イヴェット(G・シュランベルゲル)に会う。彼女は街の女達に客を紹介してはピンはねする商売の女だ。ナナは完全な売春婦になった。ラウール(サディ・ルボット)というヒモも出来た。ナナは見知らぬ男と寝て、彼等から金をもらう。無意識に、無感情に--その金はラウールの手に渡っていた。ある居酒屋でダンスをしていたナナの眼に、玉突きをしている一人の青年の姿がうつった。彼女のもの憂げな眼がかすかに動いた。ナナの心に、女の感情が小さく灯った。ナナは青年を愛し始める。ラウールとは別れよう……だが、彼はナナの心の動きをみるや、彼女を他の売春業者へ売りとばしてしまった。しかし、その取引きの現場で間違いが起った。相手の出した金は約束の金額には不足していたのだ。ラウールはナナを連れて帰ろうとしたが、相手のヤクザが射った拳銃の弾丸はナナの胸にあたった。ラウールはそのまま逃走した。射ったヤクザ達の車もギアを入れた。……その冷たい舗道にナナは「生きたい!」と叫んで死んだ。

「女と男のいる舗道」の解説

「勝手にしやがれ」「女は女である」のジャン・リュック・ゴダールの演出した社会風俗ドラマ。マルセル・サコットのドキュメント「売春婦のいる場所」からゴダール自身が脚色したもの。撮影は「ピアニストを撃て」のラウール・クタール、音楽は「エヴァの匂い」「5時から7時までのクレオ」のミシェル・ルグランが担当した。出演者は「5時から7時までのクレオ」「シエラザード」のアンナ・カリーナ、サディ・ルボット、G・シュランベルゲル、アンドレ・ラバルトなど。ミシェル・ルグランの没後1年&生誕88年特別企画として、デジタル・リマスター版 特集上映「ミシェル・ルグランとヌーヴェルヴァーグの監督たち Hommage à Michel LEGRAND」にて、2020年2月21日(金)から「女と男のいる舗道 4Kデジタル・リマスター版」を上映。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督ジャン・リュック・ゴダール
原作マルセル・サコット
出演アンナ・カリーナ サディ・ルボット アンドレ・ラバルト G・シュランベルゲル Gerard Hoffman
配給 ヘラルド
制作国 フランス(1962)

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-05-21

この映画「女と男のいる舗道」は、ジャン=リュック・ゴダール監督の傑作の一本だと言えると思う。

あるいは、この監督の一番いい部分の出ている映画だと言えるかもしれない。
もうひとつ言えば、なんとなく解るような映画だ。

じっと観て、セリフを聞いていると、まるで詩を聞いているような気分になる。
そして、アンナ・カリーナの私娼ぶりが、とても可愛い。

映画の冒頭、いくつかの受賞名が出たあと、「B級映画に捧ぐ」といった言葉が出る。
全体が12章に分けられていて、第1章は、アンナ・カリーナ扮するナナが、夫と別れるくだりから始まる。
第2章では、自立してレコード店で働くナナだが、やがて、私娼としてパリの舗道に立つようになる。

モノクロームのパリの風景が、ドキュメンタリー・タッチで映し出され、セリフには詩のような比喩と間合いとが含まれている。

最終更新日:2024-05-31 16:00:01

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