P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2024-06-16
※このクチコミはネタバレを含みます。 [クリックで本文表示]
工場では上司からいたぶられ、家に帰れば無気力でテレビばかり見ている両親にやり切れない思いをさせられ、安い給料を酒と女に注ぎ込んでいるのだ。
しかし、その不平不満のはけ口をどこへもっていったらいいのかというように、土曜の夜、酒場へ行って酔っ払い、パブで出会った若い娘を好きになるが、彼女は身が堅い。
それで工場の同僚の家へ行って、同僚の留守中にその奥さんと寝たりするのだ。
そして、同僚が夜勤になったのを幸い、その奥さんとの情事は激しさを加え、遂に彼女は妊娠する。
二人の関係は同僚に知られ、アーサーは同僚の弟の兵隊仲間にたたきのめされる。
そして、見舞に来たシャーリー・アン・フィールドに全てを告白し、気持ちを理解してくれた彼女と結ばれる。
カレル・ライス監督は、この”怒れる若者たち”の一人である主人公を中心に、現代のイギリスの”階級社会の閉塞感”を小市民生活の中で、リアルに描いていると思う。
カレル・ライス監督の視線は客観的で厳しいが、映画的に見て、そのショットの感覚が、まるで記録映画的なドキュメンタリーを観ているような斬新なタッチで描かれていて、感心させられた。 もちろん、この映画に生々しい、リアルな現実感を与えているのは、主人公を演じたアルバート・フィニーのふてぶてしさの中にも、ある種の哀しみをにじませた演技があったからこそだと思う。