P.N.「オーウェン」さんからの投稿
- 評価
- ★★★★★
- 投稿日
- 2025-08-28
この「若者のすべて」という邦題では、この映画の良さは伝わりにくい。
原題を「ロッコとその兄弟」という、この作品をイタリアのある映画批評家は、ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を想起させると言ったが、まさに重量感あふれる人間ドラマの傑作だと思う。
ルキノ・ヴィスコンティ監督の計算されつくした、リアリズムの演出は、北イタリアの風土の中に、兄弟の骨肉の葛藤と肉親の愛の絆とをエネルギッシュに描き抜くことに成功していると思う。
シモーネのレナート・サルヴァトーリ、ロッコのアラン・ドロン、さらにナディアのアニー・ジラルドーなど、いずれもリアルでドラマティックな迫力の演技を示している。
また、北イタリアのミラノの現地ロケ、特に有名な大寺院の使い方も、実に効果的だ。