白夜の果てに 作品情報
びゃくやのはてに
駅馬車が主要な交通機関だった時代、宿駅場の主人は官営のおかげで官吏として最下級の十四等官という肩書をもっていた。シメオン・シメオノフィッチ(ハインリヒ・ゲオルゲ)も、このしがない十四等官だが、彼にはドゥーニャ(ヒルデ・クラール)という美しい一人娘がいた。あるとき、馬をとりかえようと、この宿駅場に立寄った騎兵大尉ミンスキー(ジークフリート・ブロイアー)がドゥーニャを見染め、一緒にペテルスブルグへ行こうと口説いた。父思いのドゥーニャにもはなばなしい上流社会はあこがれの的だ。彼女は父の悲観をあとにペテルスブルグ行きの馬車にのった。だが、ペテルスブルグの生活は想像していたのとは大ちがい、彼女の美貌はミンスキーだけでなく、遊びなれた貴族たちの弄ぶところとなり、ドゥーニャは囲い者の生活を転々とした。それでも彼女の純真さはすこしも損われなかった。彼女は純朴な見習士官ミッチャ(ハンス・ホルト)に真の恋をおぼえ、今までの生活から足を洗った。幸福そうなドゥーニャの手紙をみて、父は思いきってペテルスブルグへ出てきたが、豪華な邸と思いのほか、彼女の住む寒々としたアパートを見て、失望のあまりわめき散らした。階段の下でこれをきいたドゥーニャは、こっそり引返してミンスキーを訪れ、父を喜ばせるために偽りの結婚式をしてくれと頼んだ。その当日、偽りとは知らず、父は涙して娘の出世をよろこんだが、事情を知らぬミッチャは、式を真にうけてドゥーニャから去って行った。父を送りかえした彼女は、最愛のミッチャを失って生きるすべとてない、彼女は自殺した。--それから十数年、今では立派な士官となつたミッチャは、すでにミンスキーから真相をきいていたが、たまたま通りすがった宿駅場で、娘の幸福を信じこんでいる老父の姿を見た。
「白夜の果てに」の解説
過去に何度か映画化されているアレクサンドル・プーシュキンの原作『ポストマイスター』を、「罪ある女」のゲルハルト・メンツェルが脚色し、「母の瞳」のグスタフ・ウツィツキが監督した帝政ロシア時代の田舎娘の哀話である。撮影はハンス・シュネーベルガー(「二つの世界の男」ベルリン・ロケ)、音楽は「たそがれの維納」のウィリー・シュミット・ゲントナー。出演者は、無声映画時代からのヴェテラン、ハインリヒ・ゲオルゲ(「故郷」)、ヒルデ・クラール、ジークフリート・ブロイアー(「第三の男」)、ハンス・ホルト(「モツアルトの恋」)。
公開日・キャスト、その他基本情報
キャスト |
監督:グスタフ・ウツィツキ
原作:アレクサンドル・プーシュキン 出演:ハインリヒ・ゲオルゲ ヒルデ・クラール ジークフリート・ブロイアー ハンス・ホルト ルート・ヘルベルク Margit Symo Franz Pfaudler Alfred Neugebauer |
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配給 | 東和 |
制作国 | オーストリア(1939) |
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