哀愁のみずうみ 作品情報

あいしゅうのみずうみ

アリス(D・ダリュー)は第一次大戦の喧騒をのがれてパリを離れ、ここスイスに来ていた。パリの上流階級のたまり場のようにここにはフランス人が優雅な生活を送っていた。アリスと一諸に来たのは妹と妹の娘マリエット(R・パワー)で、ある日彼女たちはハンガリーの名ピアニスト、ベクスタインの演奏会を聞きにきた。演奏会のあと、一人で海のまわりをぶらぶら歩いていたアリスが、何気なく、乗り込んだ船は、思いがけなく、スイス国境を越えてある船着場に着いた。目の前にあるカジノに入った彼女はルーレットのテーブルの若い男(R・オフマン)に魅きつけられた。その男はルーレットで負けつづけ、その負け方は、まるでわざと負けているかのようだった。端正な顔にどこか翳りをただよわせた男は、全部スってしまうと悄然と席を立ってカジノの中庭の方に歩きだした。慰さめるアリスに、男はほっといてくれ、と背を向けたが、彼女が再びカジノに向かうと、彼は気をとりなおしたように、彼女にあやまるのだった。そんな男の態度にひかれた彼女は、カジノから遠くないホテルで彼との一夜を過ごした。翌朝、アリスは午後3時に、公園のほとりで会おうという手紙と金を残してホテルを出た。3時、アリスは湖を渡って公園に来て彼を待った。男は3時25分にやっと来た。ボートをこぎ出して、男は話し始めた。軍隊を脱走して、毎日をやることもなく過ごし、虚無の影にひきずられるようにカジノに身を浸していることを。アリスはこの男トマス・クラインに愛を感じていた。トマスもアリスに愛を告白した。そしてバクチは二度とやらないことを誓い、二人でチューリヒで暮そうと言った。彼女はトマスの手に金を渡し、トマスは先にチューリヒに行っていると約束した。アリスはチューリヒへ行くまえに、思い出のカジノに行ってみた。そこには、トマスがいた。その翳りのある横顔は初めて見た時と全く変りなかった。雨の降りしきる湖、汽車の窓から遠ざかるその愛の湖をアリスはじっと見つめていた。

「哀愁のみずうみ」の解説

上流階級の虚飾に満ちた生活に空しさを感じ、真実を求めて飛び出した女が、初めて見出した愛。しかしその愛も自堕落な生活を断ち切れない男の弱い意志によって、はかなく消え去ってしまう。平和主義者でドイツの作家ステファン・ツヴァイクの小説「女の24時間」の映画化、監督はドミニク・ドルーシュ、脚色はドミニク・ドルーシュとマリー・フランス・リヴィエールが共同執筆。撮影はワルター・ウォティッツが各々担当。出演はダニエル・ダリュー、ロベルト・ホフマン、「マルキ・ド・サドのジュスティーヌ」のロミナ・パワー、レナ・スケルラ、マルト・マリシアなど。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1971年7月10日
キャスト 監督ドミニク・ドルーシュ
原作ステファン・ツヴァイク
出演ダニエル・ダリュー ロベルト・ホフマン ロミナ・パワー レナ・スケルラ マルト・マリシア
配給 ヘラルド
制作国 フランス ドイツ(1968)

ユーザーレビュー

レビューの投稿はまだありません。

「哀愁のみずうみ」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。

最終更新日:2022-07-26 11:03:58

広告を非表示にするには